50年ぶりの田舎暮らし…第2の人生のために「地方移住」を決断

鈴木勇さん(仮名・75歳)は、長年公務員として地域行政に携わってきました。

同い年の妻も同じく公務員で、夫婦共働きで定年まで勤め上げ、夫婦の退職金は合わせて約4,000万円にのぼります。

現在は夫婦で月38万円の年金を受け取りながら、都内で静かに暮らしています。なお、定年から10年ほど経ったいまも、退職金にはまだ手をつけていません。

そんな鈴木さんには、ひそかに胸に抱いていた“夢”がありました。

「人生の最後は、もう一度自然のなかで暮らしたい」

幼少期を田舎で過ごし、就職を機に上京してから50年以上。仕事中心の日々が終わり、ふと残りの人生を思い描いたとき、かつての穏やかな時間がふと心に浮かんだのです。妻にその思いを伝えると、快く賛同してくれました。

ただし、2人が選んだのは、鈴木さんの故郷ではなく、新たな地方での暮らしでした。“終の棲家”となることを考えたとき、住宅の条件や医療・交通の利便性などを鑑みての決断です。

そうして、夫婦は都内にある自宅を売却し、とある地方に新築の庭付き一戸建てを購入。購入費用のうち、不足分の1,000万円は退職金から補いましたが、資産にはまだ十分な余裕があります。

移住先で見つけた「新たな仲間」

新居に移ってすぐ、2人は近所へ挨拶回りに出かけました。住民は予想以上にみな親しみやすく、温かく迎え入れてくれました。

なかでも、近所のお父さんたちが集まる「麻雀仲間」の輪に入れたことは、鈴木さんにとって大きな喜びでした。元経営者や専門職など、多彩な人々との交流は刺激的で、鈴木さんは「ここに来て正解だった」と思わず笑みがこぼれます。

しかし……。