近年の物価上昇を受けて、車を買い替える際に中古車を選択肢に入れる人が増えています。しかし、SNSなどでよく出てくる広告につられて安易に購入すると、思わぬ悲劇に見舞われることも……予算250万円でファミリーカーを探していた39歳の平山さん(仮名)の事例をもとに、中古車購入時の注意点についてみていきましょう。
外車なんて買うんじゃなかった…中古のファミリーカーを探す年収600万円の39歳サラリーマン、SNSで〈350万円のベンツ・Gクラス〉を見つけ大興奮→妻も喜び購入も「納車1ヵ月で後悔」のワケ
残クレはいやだ…予算250万円で“理想の車”を探す男性
会社員の平山恭太さん(仮名・39歳)は、3歳年下の妻・愛さん(仮名・36歳)と2人の子どもと暮らす4人家族です。
年収は600万円で、貯金は200万円ほど。子どもが成長し、いま乗っている車が手狭になってきたため、予算250万円でファミリーカーを探すことにしました。
まずは最近街でよく見かける「アルファード」を検索。すると、新車価格は安くても500万円を超えています。
「こんなの乗れるわけがない。こんな高級車を、なんでみんな買えるんだ……?」
調べるうちに、おそらく周囲は「残価設定ローン(残クレ)」という仕組みで購入していることがわかりました。しかし、調べれば調べるほど、残クレのデメリットが目につきます。
平山さんが特に気になったのは下記の2点です。
・走行距離制限や傷の基準が厳しく、追加費用が発生しやすい
・総支払額が通常ローンより高くなるケースがある
「残クレは自分には合わないな……」
平山さんはそっとスマホを閉じ、“残クレアルファード”の仲間入りを諦めました。
SNS広告で目にした「350万円のベンツ・Gクラス」
ただ、連日車のことを調べていた平山さんのスマホには、あらゆる場面で車関連の広告が出てくるように。意識せずとも新車や中古車の情報が目に飛び込んできます。
そんなある日のこと。「ベンツ・Gクラス」「支払総額350万円」という文字に、平山さんは思わず目を奪われました。
「えっ、350万円!?……ベンツって、芸能人や社長が乗るあの車だろ?」
リンク先に飛ぶと、年式は約20年前の個体でしたが、見た目は最新モデルと並んでも見劣りしない、古さを感じさせない風格です。
予算は100万円オーバーだが…妻に相談した結果
予算250万円に対し350万円は明らかな予算オーバーです。
ただ、ここを逃すとベンツなんて一生乗る機会がないのではないか……そう考えた平山さんは、思い切って妻に相談。すると、「プラス100万円でこんなにかっこいいクルマが買えるの!? いいじゃない!」と、妻もまさかの大喜び。
返済期間は5年、毎月の返済額は約6万3,000円と、生活費への負担が気になるところですが、家族の反応に背中を押され、その場で購入を決断しました。
――そして迎えた納車日。憧れのGクラスを前に、気分はまるで成功者です。しかし、この瞬間が平山さんの幸せのピークでした。