厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」」によると、日本では同居20年以上の「熟年離婚」が、統計のある1947年以降で過去最高を更新し続けているそうです。一方、一般的には“明らかな離婚理由”となりそうな事実が判明しても、離婚を選択しない人もいます。今回は朝日新聞取材班による著書『ルポ 熟年離婚』(朝日新聞出版)より、夫の浮気が発覚したにもかかわらず「離婚する気はありません」と言い切る女性の事例を紹介します。
娘より年下の女性と密会する61歳夫…探偵に60万円を支払い〈浮気の証拠〉をつかんだ妻が、それでも「離婚する気はありません」と断言するワケ
夫に縛られず、自由を手にしたい妻
別居中であっても、収入が多い方の配偶者は、少ない配偶者に対し、生活費として婚姻費用(婚費)を支払い続ける義務がある。妻は夫の会社で経理の仕事を続け、役員報酬と婚費合わせて月約30万円を受け取っている。光熱費の一部、生命保険料、住宅ローンも夫が支払っている。夫の会社は週3日出勤なので、ほかにパートの仕事も始めていた。
夫の浮気発覚後、妻の母が亡くなり、金融資産を相続した。その資金を元に投資を始めたことで株の配当や利息も月々、入ってくるようになった。経済的なメドがつき、精神的な余裕が生まれたことが、別居を申し出る選択を後押ししてくれた。
夫と離れて生きていけるかどうか不安もあった。でも予想外に快適だった。それまでは毎朝5時に起きて夫や子どもたちのごはんや弁当を作っていた。友人と出かけるときも夫の目を気にし、必ず食事を用意してから家を出ていた。だが、いまは夫に縛られず、自由だ。夕食作りからも解放される。
友人たちと気兼ねなく、旅行、食事、カラオケにも出かけ、やりたかったフラメンコダンスも始めた。ほどよい距離ができたためか、夫婦関係はやや改善し、仕事の帰りにおすしを食べに行ったり、週末にゴルフに行ったりするようになった。
夫の銀座通いと「パパ活」は続いているようだ。独立後、必死で仕事ばかりしてきた夫なりのストレス解消法なのだろう、と別居後、思えるようになった。「経営者は孤独なので若い子にちやほやしてもらいたいんだろう」と妻は語る。
子どもたちが家を出たので持ち家を売り、マンションに引っ越さないかと夫に言われたが、断った。いまさら一緒に住む気にはなれない。「どちらかが、病気になったら全力で支え合おう」と、夫とは約束している。
「戦友のような関係で、離婚する気は今のところありません」
朝日新聞取材班