日本でお金持ちが多い場所と聞くと、東京や大阪、横浜や神戸など、大都市をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし、日本にはあまり知られていない“お金持ちの村・町”が数多く存在します。誰もが知る避暑地の代表、長野県・軽井沢町もそのひとつです。観光地・別荘地のイメージが強い軽井沢ですが、いまや住民が「稼げる町」に変貌を遂げています。そんな軽井沢の発展と特徴について、経営コンサルタントの鈴木健二郎氏が、実際の住民の声を交えて解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
軽井沢住民はお金持ちが多い?「別荘地」から「定住地」へ…高所得地帯化が進む〈長野県・軽井沢町〉驚きの平均給与額【地方に実在する“お金持ちの町”の実態】
“軽井沢モデル”の模倣は可能か?
一方で、課題も当然存在する。
地価や物価の高騰は地元住民の生活を圧迫し、観光の季節変動により雇用が不安定になる業種もある。さらに、ブランド価値を維持するには、環境保全やインフラ整備への継続的な投資が欠かせない。
軽井沢の魅力を守りながら、誰もが安心して住める町にするための「共生戦略」が、今後の焦点となるだろう。
軽井沢の進化は、「観光地が知的リゾート経済圏へ変貌するプロセス」を明確に示している。
カギとなったのは、
・自然
・文化
・知性
・ブランド
という4つの無形資産を統合した点だ。これらは物理的なモノでないだけに再現が難しく、他地域には模倣されづらい「知的資本」だといえる。
今後期待されるのは、地元企業との共同ブランド開発、産学連携による教育都市化、企業誘致と地域共創プラットフォーム化といった「知的経営」のさらなる深化だ。
軽井沢はすでに「観光地」という固定観念を超えた。軽井沢はいまや、見えない資産が利益を生む地域経営モデルとして、進化を続ける知的リゾートなのである。
鈴木 健二郎
株式会社テックコンシリエ 代表取締役
知財ビジネスプロデューサー