“軽井沢モデル”の模倣は可能か?

一方で、課題も当然存在する。

地価や物価の高騰は地元住民の生活を圧迫し、観光の季節変動により雇用が不安定になる業種もある。さらに、ブランド価値を維持するには、環境保全やインフラ整備への継続的な投資が欠かせない。

軽井沢の魅力を守りながら、誰もが安心して住める町にするための「共生戦略」が、今後の焦点となるだろう。

軽井沢の進化は、「観光地が知的リゾート経済圏へ変貌するプロセス」を明確に示している。

カギとなったのは、

・自然

・文化

・知性

・ブランド

という4つの無形資産を統合した点だ。これらは物理的なモノでないだけに再現が難しく、他地域には模倣されづらい「知的資本」だといえる。

今後期待されるのは、地元企業との共同ブランド開発、産学連携による教育都市化、企業誘致と地域共創プラットフォーム化といった「知的経営」のさらなる深化だ。

軽井沢はすでに「観光地」という固定観念を超えた。軽井沢はいまや、見えない資産が利益を生む地域経営モデルとして、進化を続ける知的リゾートなのである。

鈴木 健二郎
株式会社テックコンシリエ 代表取締役
知財ビジネスプロデューサー