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帰省だけで30万円超!北海道の実家帰省に震える42歳サラリーマン
「正直、ホッとした気持ちがないわけではない。孫の顔を見せたい気持ちは強いものの、大きな出費は痛いですから……」
都内のメーカーに勤務する田中健二さん(42歳・仮名)は、年末の帰省について教えてくれました。田中さんは妻と小学生の子ども2人の4人家族。北海道で1人暮らしをする母・幸子さん(70歳・仮名)の実家へ、毎年正月とお盆に帰省するのが恒例となっていました。
しかし、昨今の物価高が田中家の家計を直撃しています。給与は横ばいなのに、食費や光熱費は上がる一方。学年が上がるにつれて教育費負担も重くなり、そこに住宅ローン負担も……そのようななか、割引のきかない年末年始の帰省費用にはため息が止まりません。
「飛行機で帰るのが楽だけど、年末年始だと家族4人で往復30万円以上消えますね。新幹線で函館まで行って、それから特急に乗り換える、という方法だと10万円くらい安くなるのかな。でも、移動だけで丸1日……どちらにせよ、ツライです」
いわゆる「帰省貧乏」の状態。それでも「長男だから」「母が寂しがっているから」という義務感で、今年も無理をして帰ろうとしていました。しかし、電話で帰省の日程を伝えようとした際、電話の向こうの幸子さんから思いがけない言葉が返ってきたのです。
「今年は、もう帰ってこなくていいわよ」
驚く田中さんに、幸子さんは明るい声でこう続けました。
「あんたたちも大変でしょ。わざわざ高い時期に、すし詰めになって帰ってくることないわよ。だったら、そのお金で子どもたちに美味しいお肉でも食べさせてあげなさい」
母は決して息子を拒絶したわけではありませんでした。むしろ息子家庭の経済状況を察し、先回りして提案をしてきたのです。さらに幸子さんの提案は続きます。
「暖かくなったら私が東京に遊びに行くわ。キレイな桜もみたいし、その時は東京の案内をお願いね。泊まるところ? ビジネスホテルくらい自分でとれるから」
そして「正直、お迎えするほうも大変なのよ。お互いに楽な方法を選びましょう」と続けます。
確かに幸子さんは帰省のたびに4人分の食事や布団を用意し、さらに2人の孫にはお小遣いも。年金月16万円ほどだという幸子さんにとっては、体力的にも、お財布的にも、負担は大きかったのかもしれません。
「母はそう言ってくれましたが、やっぱり家族のいない正月は寂しいのではないかと……でも、今回は母の提案に甘えることにしました」
そんな幸子さんからスマホ決済アプリを利用して、お年玉が送られてきたとか。
「帰省について、私たちのほうがアップデートする必要がありますね」