SNSを中心に話題となっている“独身税”という言葉をご存じでしょうか。これは「結婚していない人に一律で課される税金」というわけではありません。ではなぜ、あたかも独身者だけが負担するような呼称が独り歩きしてしまっているのでしょうか? 41歳女性の事例をもとに、“独身税”と呼ばれる制度の実態と、騒がれている背景を掘り下げていきましょう。石川亜希子CFPが解説します。
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結婚がそんなに偉いの!?…手取り月26万円・41歳非正規女性が思わずキレた、69歳母の「何気ないひと言」【来年スタート“独身税”の実態】
不公平、不透明…“独身税”がどの世代からも不評な理由
その背景には、不公平感・不信感・不透明感があると考えられます。
子どもを持たない人にとっては、まるで「子どもを持たないことは社会に貢献していない」と罰金を科されているように受け止められ、それが“独身税”という呼び方につながっているのでしょう。
さらに、これまで少子化対策に多額の財源が投じられてきたにもかかわらず、出生率の改善につながっていないことから、「どうせ今回も成果が出ないのでは」という不信感も広がっています。
こども家庭庁によると、この「子ども・子育て支援金」は児童手当や妊婦向けの支援給付などに充てられる予定とされています。しかし、具体的にどの事業にどれだけ投じられ、どんな成果を生むのかは見えにくく、不透明感は拭えません。
結局のところ、「誰かが得をして、誰かが損をする」と感じさせる構造、つまり支援と負担の関係が曖昧なままであることが、この制度の一番の問題といえそうです。
国に求められる「説明責任」
本来、支援は将来の社会をよりよくするための“投資”であるはずです。しかし、「どこに使われているのか」「自分の暮らしはどうよくなるのか」が見えなければ、人々は分断されてしまいます。
国は、どの世帯にいくらの負担が生じ、どの支援にいくら投じられるのかを明確に示し、制度の趣旨を国民が正しく理解できるよう伝え続ける必要があります。
そしてなにより、「実際になにに使われ、どのような効果があったのか」という結果についても説明する責任があるでしょう。
石川 亜希子
CFP