どうやって結婚しろと…美穂さんを追い詰める「生活苦」

(別に結婚したくないわけじゃないのに、独身が悪いみたい。毎月家賃と生活費で生活ギリギリなのに、恋愛する暇なんてあるわけないでしょ? こんな状態でどうやって結婚しろっていうの!?)

実は、美穂さんは契約社員でした。そのため激務にもかかわらず年収は約400万円、毎月の手取りは26万円ほどです。物価も上がり、税金や保険料の負担も少しずつ増えるなか、生活の実感はますます厳しくなっています。

一方、妹の紗耶香さん(仮名・38歳)は結婚して2人の娘(5歳・3歳)がおり、聡子さん夫婦が暮らす実家から車で30分ほどのところに住んでいます。世帯年収は約800万円ほど。

テレビを見る時間もない美穂さんは、母が言っていた“独身税”という言葉が気になり、怒りに震える手で検索してみました。すると、「子ども・子育て支援金制度について」というページにたどり着きます。

「“社会全体で子育て世帯を応援”……? 私は私の生活でいっぱいいっぱいなのに、私より稼いでて幸せそうな紗耶香たちを支援しろってこと?」

“独身税”の意味を理解した美穂さんは、思わず持っていたスマホをベッドに投げつけました。

むしろ迷惑…妹・紗耶香さん夫婦側の“本音”

他方、小さな子どもがいる紗耶香さん夫婦も共働きで、こちらも日々自分たちの生活で精一杯です。孫が体調不良のときもどうしても仕事を休めず、無理を言って聡子さんに孫の世話をお願いすることもしばしば。住宅ローンもあって、家計はギリギリです。そのうえ、子どもたちには今後、もっとお金がかかります。

「支援があるのは助かるけど、これで日々の暮らしがどれだけ変わるのかわからない。子育て世帯だけ得をするみたいな雰囲気はむしろ迷惑」というのが正直なところです。

「子ども・子育て支援金制度」は、実際にはすべての医療保険加入者が対象であるにもかかわらず、“独身税”と揶揄され、幅広い世代から不評を買っています。いったいなぜここまで不評なのでしょうか。