予期せぬ突然の別れが訪れたとき、目の前の現実や将来への不安にどう向き合えばよいか、多くの人が戸惑うものです。特に一家の大黒柱を失った直後は、哀しみの余韻に浸る間もなく、現実的な手続きや生活設計を迫られる状況に立たされます。ある女性のケースをみていきましょう。
悔やんでいます……月収55万円・48歳夫が突然死。放心状態の45歳妻、葬儀後に「保険証券」を探すも見つからず「どう生きていけば」 (※写真はイメージです/PIXTA)

妻の4割が「保険証券の場所」を知らない……「サイレント保険」のリスク

夫婦間で保険の情報が共有されておらず、いざという時に請求できないリスクを抱えているケースは少なくありません。株式会社モニクルフィナンシャルは、こうした「加入していても相手は知らない保険」のことを「サイレント保険」と名付け、警鐘を鳴らしています。

 

同社が2025年11月に公表した『夫婦の生命保険についての意識調査』によると、配偶者が加入している死亡保険について、夫の「保険証券の保管場所」を「詳しく知っている」と回答した女性は58.0%にとどまりました。つまり、残りの約42.0%の妻は、夫に万が一のことが起きた際、請求に必要な証券の場所を正確に把握していないのです。

 

また、男性の8割以上が自身の保険内容を配偶者に「伝えている」と回答している一方で、受け手側である妻の半数以上(53.4%)は、受け取れる保険金の金額を「覚えていない・まったく知らない」と回答しています。「伝えたつもり」になっていても、肝心な時に必要な情報(証券の場所や金額)は、驚くほど共有されていないのが現実です。

 

なぜ、これほどまでに夫婦間の情報共有は進まないのでしょうか。同調査によれば、保険について話し合わない理由として「死や病気など、縁起の悪い話題だから」という回答はごく少数派でした。最も多かった理由は、男女ともに「話すきっかけがないから」(男性24.4%、女性28.1%)というものです。

 

タブー視しているわけではなく、単に「きっかけ」がないだけで、残された家族が路頭に迷うリスクを放置してしまっているのです。佐藤さんのように、悲しみのなかで書類探しに奔走することがないよう、「保険証券の場所」だけでも共有するきっかけを作ることが、家族を守る第一歩となります。

 

[参考資料]

株式会社モニクルフィナンシャル『【11月22日「いい夫婦の日」を前に意識調査】加入していても相手は知らない?夫婦間に「サイレント保険」が存在する可能性も』