退職を控える人のなかには、「退職金を一時金で受け取るか、それとも年金形式にするか」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。どちらを選ぶかによって、税金や社会保険料、将来の安心感に大きな違いが生じるため、慎重な判断が求められます。そこで、自身の決断を後悔しないためにも、退職金の受け取り方を選ぶ際の注意点と判断ポイントを、具体的な事例を通してみていきましょう。大竹麻佐子CFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
後悔しています...退職金2,000万円を「年金形式」で受け取る60代・元公務員の嘆き【CFPの助言】
「年金形式=損」なのか?
ただ、FPとしてAさんに伝えたいのは、「その選択は決して間違いではない」ということです。
確かに税金・社会保険料の負担は増えましたが、毎月一定の年金が入ることで生活は安定しています。
まとまった資金を運用に回して日々の価格変動に一喜一憂する生活は、精神的に負担でしょう。それよりも、安定した収入で心穏やかに過ごせる今の状況は、Aさんにとっての“安心”をもたらしています。
退職時の選択は、単なる金銭的な損得よりも、「自分にとって、どのような受け取り方がもっとも安心できるのか」を考えることが大切です。Aさんには、ぜひ当時の自分の判断を前向きに捉え、老後の満足度につなげてほしいと思います。
性格と老後のライフプランによって「正解」は異なる
退職金の受け取り方には、それぞれにメリットとデメリットがあります。一時金は資金の自由度が高い一方で、管理の難しさがあり、年金形式は安定性がある一方で税やインフレの影響を受けやすいといえます。
これから退職を迎える方は、自身の家計状況、公的年金の額、健康状態、家族構成などを踏まえ、「何を優先したいのか」を明確にして選択することが大切です。
きちんと理解したうえで、比較検討し、自分らしい老後を迎えるための最適な判断を目指しましょう。
大竹 麻佐子
ゆめプランニング 代表
ファイナンシャルプランナー(CFP)/相続診断士
