両親は「老後破産」を回避できる?

息子への金銭的な依存を自覚し、反省した夫妻は、これまでの家計支出を真剣に精査しました。

その結果、最近ほとんど運転していなかった自家用車の売却を決断します。

これによりスイッチの入った夫妻は、保障が過剰な保険や利用頻度の低いサブスクの解約、携帯電話料金の契約を見直しなど、固定費の削減に奔走。

またAさんの年金繰下げをやめて、全額受給することに。1年間(12月)老齢基礎年金を繰り下げたことで、月あたり5,530円(年間6万6,360円)増額されました。

さらに、現在1,500万円の貯蓄を計画的に取り取崩すことで、毎月20~23万円の支出で生活できるめどが立ちました。

AB夫妻は、将来孫が誕生したらお小遣いを渡せるように、これからは目標を決めて貯蓄に励むそうです。

Aさんは「『いつまでもあると思うな親と金』ではなく、『いつまでも居ると思うな息子と金』でした」と苦笑い。金銭的な不安が解消したことで、息子の結婚を心から祝えたそうです。

「親子共倒れ」という最悪のケースも…経済的自立の重要性

今回紹介した夫婦は、いつの間にか息子に依存する生活が当たり前となり、現役引退後も家計の節約に手をつけていませんでした。

幸い、自活できる年金受給額や貯蓄があり事なきを得ましたが、もし老後収入が少なく、子の援助をあてにした生活を続けた場合、子の家計も困窮して親子ともに家計が破産しかねません。

家計が苦しいときはまず、収入を増やすか支出を減らす取り組みを早急にはじめ、可能な限り子に迷惑をかけない対策を打つことが不可欠です。

牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員