日本でお金持ちが多い場所と聞くと、東京や大阪、横浜や神戸など、大都市をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし、日本にはあまり知られていない“お金持ちの村・町”が数多く存在します。北海道北部・オホーツク海沿岸に位置する猿払村(さるふつむら)もそのひとつです。では、この村の住民はなぜお金持ちなのか、経営コンサルタントの鈴木健二郎氏が、実際の住民の声を交えて解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
ホタテが「豪邸」「フェラーリ」に化けた時代は終わり…〈人口2,600人・平均給与789万円〉北海道・猿払村のいま【お金持ちの地方の実態】
“栄光の時代”から40年…猿払村のいま
こうした動きは、単に“ホタテを売る”という構造から脱却し、「猿払というブランド体験を提供する産業」への転換を意味する。まさに、成熟したコア事業を再定義し、無形資産を持続的に活用する地方版“無形資産経営モデル”といえるだろう。
猿払村の事例は、特定産業への依存がもたらす成功と脆弱性の表裏を示している。しかし同時に、自然資源を無形資産化し、組織的にマネジメントすることで、地方が自立的な経済圏を築けることを証明してもいる。
“日本一の金持ち村”と呼ばれた栄光の時代から40年。猿払村は今、「稼ぐ地域」から「経営する地域」へと進化しつつある。そこには、成熟産業を抱える多くの地域にとっての示唆、「見えない資産こそ、次の時代の競争力を生む」という、静かなメッセージが込められている。
鈴木 健二郎
株式会社テックコンシリエ 代表取締役
知財ビジネスプロデューサー