平均寿命の高齢化や物価高、増えない年金など、穏やかな老後を迎えるためには「老後資金の確保」がますます重要になっています。ただ、70代で3,000万円の貯金を有しているにもかかわらず、ボロボロのアパートに住み「後悔している」と嘆く人も……いったいなぜなのか、詳しくみていきましょう。
愚かでした…貯金3,000万円も、住まいは「六畳一間・風呂トイレ共同アパート」74歳男性が悔やむ“人生最大の過ち”
アパートを退去して「ホテル暮らし」は可能?
「施設に入居したら安心」と自宅を売却していた田口さんは結果的に行き場を失い、住宅難民となってしまいました。
ただ、現在の住まいに不満がある場合、次のような選択肢を検討してもよいでしょう。
【ケース1】1,500万円ほどで中古住宅を購入する選択
エリアや築年数など条件を広げれば、ひとり暮らしの部屋であれば1,500万円以内に収まるケースも多く、「自分の家」を持てる安心感が得られます。
固定資産税や修繕費はかかりますが、賃貸のような更新料や家賃上昇リスクはありません。ただし、高齢者単独での住宅ローンは難しいため現金一括購入が前提です。
【ケース2】子どもと同居する選択
住居費を抑えられることに加えて、孤独感の軽減やいざというときのサポートも得やすいのが利点です。ただしこれは相手があるため簡単なことではありません。
理想は、生活空間を分けつつ互いを支え合える近居型でしょう。最近では「自宅を二世帯住宅にリフォーム」「親世帯が近隣マンションを購入して近居」というスタイルも増えています。
【ケース3】預金3,000万円で「ホテル暮らし」は可能か?
最近SNSなどで注目を集めるのが「老後のホテル暮らし」です。ホテルであれば毎日清掃付きで食事も取れる優雅で快適な生活が送れるでしょう。
しかし、1泊15,000円でも年間約540万円、5年で2,700万円が消える計算です。長期的な老後生活には金銭的に負担が大きいことに加え、体調を崩したときのサポートや介護の対応もないため、現実的ではないでしょう。
「住居の売却」は慎重に
田口さんは「あのとき家を売らなければ…」と後悔しています。老後において「生活資金の確保」と同じくらい大切なのは、安心して暮らせる「住まいの確保」です。
貯金3,000万円という金額も、住まい次第で“宝の持ち腐れ”になりかねません。老後の住まい選びは、後悔しないように慎重に取り組みましょう。
武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役