高齢者施設の理想と現実

「高齢者が多い日本なら、高齢者施設は儲かるのでは?」

そう考える人がいるかもしれません。しかし、施設運営は慢性的な人手不足に直面していることに加えて、電気代や食材費、建物維持費といった固定費の高騰などが経営を圧迫しています。結果として「赤字経営の施設」や「閉鎖に追い込まれる施設」もあります。

田口さんが入居していた施設は、リーズナブルな利用料にもかかわらずサービスやスタッフの対応も良く、入居者は大満足であった一方、運営会社が利益を出せずに経営不振に陥ってしまったケースでした。

“失敗しない施設選び”のポイント

今回紹介した田口さんは、「友人に誘われた」というのが施設選びの決め手でした。

入居先に知り合いがいるというのは施設選びにあたり重要な項目でしょう。ただそれ以外にも、最低限確認しておきたいポイントを3つ紹介します。

入居率が高い

入居率80%以上がひとつの目安です。空室が多いと安定した収益が見込めないことが理由として挙げられます。

「開設から3年以上経っているにもかかわらず、入居率が80%を切っている」施設には注意が必要です。

運営母体がしっかりしている

運営している法人が、介護事業に関してどのくらいの実績を持っているかは要チェックです。新規参入で実績がなかったり、資金面で余裕がなかったりする場合にはリスクが高くなります。

また、建物や設備が古い場合には施設の修繕費用や維持費用がかさみ、経営を圧迫する場合があります。余剰資金の有無や修繕計画は適切かを確認しましょう。

職員の定着率

人手不足や職員の入れ替わりが激しい施設は、運営に無理がかかっている可能性があります。

たとえば「施設長が毎年変わる」「スタッフの顔ぶれが常に変わっている」など。重要事項説明書でスタッフの勤務年数を確認するとよいでしょう。

また上記以外にも、見学時に「共用スペースは清潔か」「スタッフが余裕を持って入居者に対応しているか」「入居者の表情・雰囲気がいいか」という視点は、よい施設を選ぶ判断材料になります。