Aさんが“お金を気にせず”好きを仕事にできたワケ

実はAさん夫婦、退職前に、老後のライフプランをファイナンシャルプランナーに相談していました。

夫婦はすでに、Aさんの弟を後見人と決め、本人の承諾も得ています。また、夫婦のどちらかが亡くなるまでは自宅で過ごし、その後は老人ホームなどの施設に入居する計画を立てました。

この計画を実現するため貯蓄に励んだ結果、Aさんが60歳になった時点で、退職金約2,000万円(※)を含めて約5,000万円の資産を形成していたのです。

※総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、都道府県別警察職の定年退職者等平均支給額の全国平均は、2,270万2,000円。

この5,000万円のうち、1,000万円はAさんが年金を受け取るまでの生活費として、残りの4,000万円は、旅行や自宅の修繕費、施設の入居費に充てる計画とのこと。

筆者も試算したところ、質実剛健な夫婦の計画通りに老後の生活が送れそうです。

「セカンドライフ」を充実させるために

Aさんは、老後は「収入を度外視した人生のやりがいをみつける」と決めていました。そのため現役時代から資産形成に励み、理想の老後を満喫しています。事実、Aさんの時給は1,050円と決して高くありません。しかし、念願の子ども支援をする仕事に心から満足しているそうです。また、妻のBさんは地域の女性会に参加して、ボランティア活動などに精を出しています。

夫婦は「贅沢はできませんが、毎日が本当に楽しいです」と快活に話してくれました。

Aさん夫婦のように、「お金では買えないやりがい」に没頭できる老後は幸せでしょう。ただ、そのためには「ある程度のまとまった資産」が必要なのが現実です。

平均寿命が延びるなか、長期化する「セカンドライフ」を満喫するためにも、現役時代から準備しておきましょう。

牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員