(※画像はイメージです/PIXTA)
ドル・コスト平均法は本当に最強なのか?

では、本当にドル・コスト平均法での投資が「最強」なのか、より厳しい状況で検証してみることにしましょう。私が選んだ期間は、ITバブル絶頂期直前の2000年3月から、新型コロナウイルスのパンデミックが宣告された2020年3月までの約20年間(241ヵ月)です。
日経平均株価は2000年3月末の2万337円から、2020年3月末の1万8,917円まで約10%弱下落しています。この期間に毎月末、日経平均株価にドル・コスト平均法で1万円ずつ投資し続けたとして検証しました。
この期間は、まさに「激動の20年」といえます。ITバブル崩壊やアメリカ同時多発テロ、イラク戦争、アメリカ住宅バブル崩壊、サブプライムローン問題、リーマンショック、東日本大震災、アベノミクス、新型コロナウイルスのパンデミック……。トピックは枚挙にいとまがありません。
はたして、ドル・コスト平均法での投資で利益は出たのか? 激動の20年を振り返ってみましょう。
■2000年3月末
2万337円(買付総額:1万円/評価額:1万円)
……マーケットはITバブルを謳歌。しかし崩壊の足音が間近に。ちなみに、ITバブルの天井は翌4月12日の2万833.21円。
■2000年4月末
1万7,973円(買付総額:2万円/評価額:約1万8,800円)
……ITバブル崩壊。相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育ち、歓喜のなかで終わる。
■2000年12月末
1万3,785円(買付総額:10万円/評価額:約8万5,300円)
……2000年代最初の年で「ミレニアム」とも呼ばれるが、マーケットは軟調。
■2001年9月末
9,774円(買付総額:19万円/評価額:約13万2,000円)
……ITバブル崩壊以降軟調な相場展開のなか、9月11日、アメリカ同時多発テロ発生。世界経済は大混乱に。日経平均株価はバブル崩壊以降初めて1万円の大台を割り込む。ドル・コスト平均法での投資は買付総額19万円に対して評価額約13万2,000円と大苦戦。
■2003年4月末
7,831円(買付総額:38万円/評価額:約26万円)
……ソニーショック勃発。ソニーの暴落に引きずられる格好で日経平均株価は4月28日、バブル崩壊後の最安値7,603.76円を付ける(2008年のリーマンショック時にはこの安値を一時下回る)。
ドル・コスト平均法での投資は買付総額38万円に対して評価額約26万円と30%下落。ただし、銀行への公的資金注入の効果がしだいに現れ始め、株価はこの安値を転機に上昇に転じる。
■2004年12月末
1万1,488円(買付総額:58万円/評価額:約60万円)
……評価額が約60万円となり、買付総額の58万円を上回る。株価低迷時に我慢して買い続けた効果が出始める。
■2005年12月末
1万6,111円(買付総額:70万円/評価額:約99万6,000円)
……評価額が約100万円となり、買付総額の70万円を約30万円上回る。
■2006年12月末
1万7,225円(買付総額:82万円/評価額:約119万2,000円)
……評価額が約120万円となり、買付総額の82万円を約38万円上回る。この時点での平均利回りは約11%になる。
■2007年8月末
1万6,569円(買付総額:90万円/評価額:約122万2,000円)
……フランスのBNPパリバ銀行が傘下の3つのファンドの凍結。サブプライムローン問題の表面化。ドル・コスト平均法での運用も苦戦が始まる。
■2008年10月末
8,576円(買付総額:104万円/評価額:約72万2,000円)
……リーマンショック勃発。日経平均株価は10月28日、バブル崩壊以降の最安値を更新する6,994.90円を付ける。世界経済は低迷期に突入する。評価額は約72万円に値下がりし、買付総額の104万円を30%以上下回る。元の木阿弥となる。
■2011年3月末
9,755円(買付総額:133万円/評価額:約111万8,000円)
……3月11日、東日本大震災発生。東北地方を中心に甚大な被害。低迷を続けていた株価に、さらに暗雲が垂れ込める。評価額は約112万円と、依然元本割れの状況。
■2012年10月末
8,928円(買付総額:152万円/評価額:約120万9,000円)
……アベノミクス直前。依然として投資元本を割り込む。
■2013年2月末
1万1,559円(買付総額:156万円/評価額:約160万9,000円)
……アベノミクス開始4ヵ月あまりで投資元本を回復。成長路線に突入。
■2019年12月末
2万3,656円(買付総額:238万円/評価額:約435万7,000円)
……コロナショック直前。約20年間の平均利回りは約6%/年となる。
■2020年3月末
1万8,917円(買付総額:241万円/評価額:約351万1,000円)
……新型コロナウイルスのパンデミック宣言。世界中の株価が暴落。しかし、評価額は約351万円と買付総額の241万円を110万円上回る。
