最近の株式相場は、トランプ米政権による相互関税政策をはじめ、米中貿易摩擦の悪化懸念や中東情勢の緊張、ロシア・ウクライナ戦争などを背景に乱高下を繰り返しています。こうしたなか、「投資はしばらく控えておこう」と考えている人もいるのではないでしょうか。ただ、それは資産形成の機会を逃す悪手かもしれません。実は、先行き不透明感の強い相場環境でも“意外なほどお手軽”に安定的な資産形成が可能なのです。そんな、筆者が考える最強の投資手法について、15年間の証券会社勤務を経て、現在はJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の講師としても活動するCFPの倉橋孝博さんが詳しく解説します。※本記事は株式会社セゾンファンデックスが運営する『セゾンのくらし大研究』で8月1日に公開されたものです。
投資のプロが「結局これが最強」と認める“意外なほどお手軽”な投資手法【20年分の大検証】 (※画像はイメージです/PIXTA)

検証で証明された「ドル・コスト平均法」の有用性

 

―――以上が約20年間の検証結果です。

 

2000年3月末に241万円を一度に投資していたら、20年後には約224万円になり、約17万円の損失が発生していたはずです。ところが、ドル・コスト平均法で毎月1万円ずつ投資し続けた241万円は、約351万円に上昇しています。もちろん、2013年以降の株価上昇の恩恵を受けてはいるものの、2000年代前半のITバブル崩壊や金融危機、2008年以降のリーマンショックによる景気低迷時に踏ん張ったことが好成績につながっています。

 

株や投資信託は常に上がったり下がったりの繰り返しです。それを毎月、定額で購入し続けるので、時価総額も上がったり下がったりを繰り返します。

 

ところが、これを20年以上継続すると、その上下はおおよそ買い付け総額より上の部分で起こることがほとんどです。シミュレーション後の日経平均株価は、2024年7月11日に4万2,426円の史上最高値をつけています。

 

いかがでしたか? ドル・コスト平均法が「最強でお手軽な投資手法」であることがご理解いただけたのではないでしょうか。

 

世界各地で起こる紛争には心を痛めますが、朝令暮改のトランプ発言に右往左往するのではなく、いまマーケットで起こっていることは景気循環の一環ととらえ、腰を据えた投資スタンスで臨みましょう。

 

〈参照・出典〉

※ 金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」(P5)

 

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。


 

 

倉橋 孝博

株式会社くらはしFP事務所

代表取締役