世界一富裕層が集まる場所として知られているドバイですが、その生活は安月給で働く出稼ぎ労働者に支えられています。本記事では、30歳目前でサラリーマン生活に終止符を打ち、現在は世界を旅しながら2児を育てる森翔吾氏の著書『すべては「旅」からはじまった 世界を回って辿り着いた豊かなローコストライフ』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編して、華やかなイメージに彩られたドバイの知られざる実態をご紹介します。
人口の9割は出稼ぎ労働者、1日12時間・週6日働いても月給は15万円程度…世界の富裕層が集まる「ドバイ」の知られざる裏側
世界一富裕層が集まる場所でも、街歩きが楽しめないドバイ
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アラブ首長国連邦(UAE)のドバイといえば、世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」をはじめとする高層ビルが立ち並び、世界の富裕層が集まることで知られている。
なぜ、富裕層が集まるのかというと、世界有数の「タックスヘイブン(所得税や法人税などが限りなくゼロに近い地域)」だから。
とはいえ、1971年に独立するまでは砂漠地帯だったので、歴史を感じられる建造物はまったくない。人工島に建築されたリゾートがあるだけなので、自然もない、街に面白みがない。これが、ドバイの弱点だ。
しかも3~10月は暑く、真夏は体感温度が50度を超えて湿度も高いので、冷房が効いた室内にいるしかない。そんなわけで僕は、ドバイに行くとホテルで缶詰になって仕事をしているか、現地のアラブ人に混じってカフェで仕事をすることが多くなる。
結婚する前は彼女がドバイで仕事をしていたので、僕は年に4、5回はドバイに行き、一カ月ほどステイしていた。そこで思ったのが、「散歩は大事!」ということだ。
旅の楽しみは、落ち着けるカフェを見つけてゆっくりお茶を飲んだり仕事をして過ごすとか、何の目的もなく街を散策して写真を撮ったり、沈んでいく夕陽を眺めながら変わりゆく景色を楽しむ、なんてところにあるのだと思っていた。
ところがドバイは、どこを見ても同じような風景なので街歩きが楽しめない。そもそも、この国は車社会だ。散歩ができない=ストレスになるということを、僕は初めて実感した。街歩きが楽しめないドバイで将来暮らせるだろうか? う~ん、難しい。
当時、ドバイで暮らしていた僕の彼女も、「ドバイは何もやることがないので、一年のうち300日はジムに通っている」と言っていた。本当にそう思っている人が多いらしく、フィットネスジムは大盛況。ニューヨーク同様、マッチョな筋肉自慢がたくさん通っている。
そんなドバイにも日本人に合うものが
そんなドバイだが、料理は何を食べても美味しい。レバノン料理、トルコ料理、シリア料理、ヨルダン料理、イラン料理、サウジアラビア料理など、微妙にスパイスの使い方が違う美味しい料理がたくさんある。
なかでも、レバノン料理がかなり洗練されていて、マグロのたたきを思わせる「羊の生肉」や「ケバブ」などは、日本人の口にも合うと思う。もう一つドバイの良さを挙げるなら、レストランもホテルもビーチも、綺麗に掃除されていてゴミがほとんどないことと、日本以上に治安が良いことだ。