不要なモノを捨て、必要なモノを選び取ることも「自分探し」

結婚してロシアに引っ越して来たときも、新しい家族へのお土産を別にすれば、僕の荷物はバックパック一つ。パソコン、スマホ、イヤフォン、充電器、髭剃り、サプリメント、わずかな服を入れてきただけだった。

さすがにマイナス20度以下になる極寒のロシアなので、厚手のコートとブーツは購入したが、それ以外はほとんど自分のものは購入していない(僕がロシアへ来た当時はネット通販が普及していなかったということも大きいが……)。

ロシアでは、室内は暖房が効いていて暖かいので半袖で過ごせる。清潔であればTシャツで十分だと思うようになり、今では仕事でクライアントさんに会うときも、YouTubeを撮影しているときも、同じ格好をしている。

ときどき、僕のYouTubeを見たという人から、連絡をもらうことがある。先日も、ロシア人の彼女がいるという日本人の男性が、「ロシアへの移住を考えているのですが相談に乗ってもらえませんか?」とカザンまで訪ねてきてくれた。

クライアントさんからも、会いにきてくれたYouTube視聴者さんからも、いつも同じことを言われる。「森さん、映像そのままですね!」と。そう言われるのは、何だか嬉しい。

自分探しの旅とは、自分にとって不要なモノを捨てながら、必要なモノを選び取っていく旅だったのだと思う。旅に出たおかげでロシア人の女性と結婚し、二人の子どもができた。家族というかけがえのない宝物を得られたことを、心から幸せだと思っている

森 翔吾