モノばかり増えていく生活に辟易

"幸せとは何か"をテーマに、生き方・働き方を模索する紀行エッセイ
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サラリーマン時代の僕は、ネット通販中毒だった。年間180回(月平均15回)の購入記録があるほどで、PC周辺機器や本はもちろん、サプリメント、食品まで、あらゆるモノをネット通販で調達していた。

起業してからは海外で仕入れた商材をAmazonで販売していたので、「今、何が売れているのか」をチェックしながら、「あれも、これも」と購入し、使わないままお蔵入りするモノがさらに増えていった。

そして、不要なモノが部屋を占領するようになると、「何で無駄なモノを買ってしまったのだ」「まだ使えるのにもったいない」と心を痛めながら、ようやく捨てる。買うのは得意だが、とにかく捨てるのは苦手なタイプだった。

そんな僕が、自分探しの旅を始めてからあまり買い物をしなくなった。1年の半分は海外にいるので買い物をする時間がなくなったこともあるが、旅に出てから「モノがない環境のほうが集中して考えられる」と気づいたからだ。

モノを捨てると、「自分の価値観が見直せる、ストレスが減る、時間にゆとりができる、運気が上がる」と言われていることはもちろん知っていた。

以前は「そんなものなのか?」と半信半疑だったが、旅で実感したことを実践してみようと自分の部屋の不要なモノを捨てまくり、ベッドも捨てて寝袋で寝るほどミニマムな生活を徹底してみた。すると、本当に集中力の質が変わってきたことが自分でもわかるようになった。

「愛着のあるモノ、思い出が詰まっているモノが部屋の中にたくさんあると、目に入ったときに、無意識レベルで昔の記憶や思い出に浸ってしまうことがあるから、気が散って仕事のパフォーマンスが下がる」と教えてくれた人がいたが、なるほど、そういうことだったのかと納得できた。

必要最低限のモノさえあれば生活ができるとわかってからは、旅をするときの荷物も圧倒的に少なくなった。ニューヨーク、ドバイ、インドであっても、予定が1カ月でも3カ月でも、バックパック一つ。そのほうが移動するときもラクだし、スリや置き引きに狙われるリスクも格段に減る。