家族の介護…「なぜこんなにイライラするのだろう?」

家族の介護は、ただの「お世話」ではなく、相手への深い「情」が入ってくる分、本当に難しいです。ぼくも頸椎損傷で首から下が動かない父の介護と、90代の祖父の介護をしているので気持ちが痛いほどわかります。

「用事があるとき以外、呼ばないで!」

父に、思いきり強い口調で伝えたことがあります。自室から、「おーい、おーい」と何度も声をかけてくるのです。要件は「水を飲ませてくれ」「テレビを消してくれ」「体の向きを変えてくれ」「ただ誰かがいるか確かめたかっただけ」というもの。自分の体が動かないから仕方ない」と頭では理解していても、我慢ができませんでした。

毎日毎日、同じことの繰り返しでいつ終わりが来るのかわからない。ストレスがたまり、つい「なんでわかってくれないの」とか「なんで自分だけ……」とイラついてしまったり。相手を大切に思えば思うほど、「どうして、こんなふうになってしまったのか」と苦しみ、「もっとちゃんとしなきゃ」と自分を責める瞬間も増えました。

あるとき、冷静になって、自分自身に問いかけてみました。介護職としても長年仕事をしてきたのに、「なぜこんなにイライラするのだろう?」と。その答えは「家族だから」ということに気づきました。