「資産運用」の重要性が叫ばれる昨今、定年を間近に控えたミドルシニア世代にとって、「退職金の活用方法」は喫緊の課題でしょう。しかし、営業担当者や広告などの言葉を「鵜呑み」にした結果、大切な資産を「騙し取られた!」と感じる人も少なくないようです。そこで今回、15年間証券会社に勤めていたCFPの倉橋孝博氏が、「付き合いを考えたほうがいい」金融機関の担当者の特徴を紹介します。
金利を優遇します…即、距離を置くべき「危ない金融マン」の特徴【元証券会社勤務のCFPが警告】
顧客の“錯覚”のケースも少なくない
とはいえ、損失を被ったお客様が「絶対に儲かると言ったじゃないか!」と激怒する場面は、決して珍しくありません。
実際には、担当者がそのような断定的な表現をしていなくても、お客様がそう言われたように感じてしまう、いわゆる錯覚によるケースが多いようです。
金融機関に限らず、営業や販売に携わる方々は商品の提案時に熱が入りやすく、いわゆる“アドレナリンが出た”ような状態でプレゼンを行うことがあります。その熱量が、聞き手に「絶対に儲かる」と言われたかのような印象を与えてしまうこともあるでしょう。
こうした誤解を防ぐためにも、顧客側は冷静さを保ち、「商品のリスクについてもきちんと説明してください」と確認する姿勢が重要です。あわせて、担当者との信頼関係を築いていくことが、安心して取引を進めるうえで肝要です。
「金利優遇」に潜む“落とし穴”
これは、退職金プランなどに関連する定期預金の金利優遇の場面で、多くの金融機関が用いているフレーズです。
これを聞くと、「おっ、銀行がオレの長年の頑張りを金利で報いてくれるのか!」と感じる人もいるかもしれませんが、実際にはそう単純な話ではありません。
金融機関も商売ですから、当然利益を上げなくてはなりません。そのため、顧客との関係は「Win-Win」であることが前提です。
たとえば担当者から、次のような提案があったとしましょう。
「1,000万円の退職金のうち、500万円を定期預金にしていただければ、金利を8%に優遇します。残りの500万円は株式投資信託の購入にあててはいかがでしょう」
ここで注意すべき点が2つあります。
まず金利の適用期間です。「金利8%」というと非常に魅力的に映りますが、実際の適用期間は多くの場合3ヵ月程度です。
仮に500万円を年利8%で1年預けた場合、税引き後の利息は約31.8万円になりますが、3ヵ月の預入では8万円程度です。
したがって、優遇金利が適用される期間と、手取りの利息(実際に受け取れる利息)をしっかり確認することが重要です。