避暑地や温泉地、海沿いなど抜群のロケーションに建てられた「リゾートマンション(リゾマン)」は、中古であれば格安の物件も多く、セカンドハウスや投資先として候補にあがります。ただし、安易に購入した結果「こんなはずではなかった」と後悔する人も少なくありません。リゾマンの魅力と必ず認識しておきたいリスクについて、60代夫婦の事例をもとにみていきましょう。辻本剛士CFPが解説します。
定年退職金で「熱海のリゾマン」を買いました…貯金残高5,000万円・神奈川県在住60代夫婦の“正直な感想”【CFPの助言】
安藤夫妻が「リゾマン売却」を決心したワケ
二人は年をとるにつれ、以前のように頻繁に熱海へ足を運ぶことが難しくなってきました。
また、千葉で暮らす娘から「老後が心配だから、よかったら近くに住まない?」と提案を受けたこともあり、夫婦は横浜の自宅を離れ、千葉県内への移住を検討するようになります。
そうなると、熱海のリゾマンを利用する機会は今後さらにぐっと減ります。夫婦は相談の末、物件を購入したときと同じ100万円で売却することにしました。
100万円でも売れない!?…身動きが取れない安藤夫妻
ところが、不動産会社の担当者から返ってきた言葉は意外なものでした。
「100万円でも買い手を見つけるのは難しいかもしれません」というのです。
実際、不動産ポータルサイトに掲載しても反応はゼロ。依頼から半年が経過しても、問い合わせすら入らない状況が続きました。その間も、毎月の管理費は発生し続けます。
「どうしよう……こんなはずじゃなかったのに」
出口が見えないまま負担だけが増えていく現実に、安藤さんは頭を抱えています。
リゾマンは安価な反面、買い手が見つかりにくい
リゾマンの主なデメリットは以下の3つです。
・買い手が見つかりにくい
・維持費が高額になりやすい
・管理組合が十分に機能していないケースがある
特に「買い手が見つかりにくい」という点は深刻で、近年はリゾマン市場の流動性が低下している傾向がみられます。
公益財団法人不動産流通推進センターの公表資料によれば、全国におけるリゾマンの販売戸数は平成22(2010)年の594戸から、令和5(2023)年には46戸と、約10年で10分の1以下にまで減少。この数字からも、需要が縮小し市場が冷え込んでいることがわかります。
物件が売れ残ると、その間も毎月の管理費や修繕積立金を負担し続けることになるため、家計にとって大きな打撃です。したがって、リゾマン購入を検討する際には、価格だけでなく維持費や将来的な売却のしやすさまで含めて、慎重に判断する必要があるでしょう。
