避暑地や温泉地、海沿いなど抜群のロケーションに建てられた「リゾートマンション(リゾマン)」は、中古であれば格安の物件も多く、セカンドハウスや投資先として候補にあがります。ただし、安易に購入した結果「こんなはずではなかった」と後悔する人も少なくありません。リゾマンの魅力と必ず認識しておきたいリスクについて、60代夫婦の事例をもとにみていきましょう。辻本剛士CFPが解説します。
定年退職金で「熱海のリゾマン」を買いました…貯金残高5,000万円・神奈川県在住60代夫婦の“正直な感想”【CFPの助言】
リゾマンにはデメリットもある、しかし…安藤さんが下した決断
安藤さんの心は大きく揺さぶられました。
それもそのはず、熱海はもともと安藤夫妻にとってお気に入りの場所。住んでいる横浜から車で1時間程度とアクセスがよく、現役時代から年に数回訪れてリゾート気分を楽しんでいたゆかりのある土地です。
Bさんからは管理費などの維持費として月に4万円ほどかかると説明を受けたものの、夫婦で旅行に行くと1回で2〜3万円の宿泊費がかかります。
「この物件を別荘にして、月に2回通えば元が取れるな」
一般のマンションと比べると管理費は割高ですが、Bさんから「100万円で譲れるのはいましかない」と耳打ちされると、不安よりも期待が勝ります。
「投資も老後の夢も同時に叶うなら、いましかないかもな……」
オーシャンビューに心を奪われ、リゾマン購入を決断
その後、安藤さんは妻を説得し、旅行を兼ねて熱海の物件を内見することにしました。
あまり浮かれてはならないと、事前に「リゾマンは維持費が高い」「売却しづらい」などのデメリットについて調べていた夫婦ですが、実際に現地を訪れると、その印象は大きく変わります。
部屋に入った瞬間、窓一面に広がるオーシャンビューに、二人は心を奪われました。
「わあ……いつものホテルより、ずっといいじゃない!」
妻もこの物件を気に入り、「この眺めが100万円で買えるなら」と、安藤さんはその場で購入を決断しました。
二拠点生活で“理想の老後”を満喫していた安藤夫妻だったが…
リゾマン購入後は月に2回以上足を運び、リゾート地ならではの暮らしを満喫。またリゾマン購入をきっかけに新しい交友関係も生まれ、地元の人々との交流を楽しむ機会も増えました。
近くには新鮮な魚介類をふんだんに使ったレストランもあり、そこでの食事も楽しみのひとつに。海辺でゆったりと過ごす日々は、まさに安藤さんが思い描いていた“理想の老後”そのものでした。
しかし……。
購入から数年が経つと、そんな暮らしにも変化が起きます。