2025年度入試を振り返る〜新学習指導要領による変更点〜
2025年度入試は、新学習指導要領の下で学んだ現役生が初めて受験する入試でした。医学部志望者にとって、新学習指導要領への対応で最も大きな変化は大学入学共通テスト(以下、共通テスト)対策であり、主に国公立大学を志望する受験生が影響を受けたと言えるでしょう。
新たに追加された「情報I」は、高等学校によって指導内容に差があり、大学ごとに配点比率も異なっています。「数学II・B」は「数学Ⅱ、数学B、数学C」に名称が変わり、出題範囲が拡大するとともに大問数が増加しました。
「国語」も近代以降の文章が1題追加されました。これに伴い、「数学Ⅱ、数学B、数学C」と「国語」の試験時間はそれぞれ10分延長されました。また、「地理歴史」「公民」は、新学習指導要領における大幅な改訂に伴い、出題内容が大きく変更されました。
ただし2025年度入試に限り、高卒生に対しては経過措置が講じられ、「数学」「地理歴史」「公民」「情報」の各科目について、旧学習指導要領に基づいた問題が用意されました。各大学が実施した個別試験についても、新旧学習指導要領の共通範囲、または旧学習指導要領履修者に配慮した出題が行われました。
そのため、2025年度入試については、ほぼ例年通りの出題であったと考えられます。
共通テスト、6教科8科目型の平均得点率は1.4ポイント上昇
新課程の初年度となった2025年度の共通テストの志願者数は、前年度比101%(+3,257人)となり、7年ぶりに増加に転じました。これは18歳人口が一時的に約3万人増加したことが要因です。
医学部志望者の多くが受験する6教科8科目型の平均得点率は63.3%(河合塾共通テストリサーチ調べ)で、前年度比で+1.4ポイント上昇しました。ただ、この上昇はある程度予測されていました。過去にも、新しい入試制度が導入された初年度は、高校現場の混乱や高卒生への配慮から入試問題が易しくなる傾向があったためです。
影響が大きかったのは得点率70%以上の受験者層です。特に、得点率80%以上の受験者数は前年度比142%となりました。この層は医学部出願者層と重なるため、医学部の入試難易度にも影響を与えました。共通テストのボーダーライン得点率(合格可能性50%)は、多くの大学で1~3ポイント、中には4~5ポイント上昇した大学もありました。
2025年度の共通テストは、日々の学習で「思考力・判断力・表現力」を意識した受験生にとって、得点率80%を超えることは難しくなかったと考えられます。
2025年度入試の大学別ボーダーライン(入試結果)
2025年度の国公立・私立大学の医学部におけるボーダーラインや志願者数には、以下の傾向が見られました。
共通テストのボーダーライン得点率の上昇
得点率70%以上の層が増加したことで、医学部のボーダーラインは前年より上昇。大学によっては4~5ポイント上がったところもある。
私立大学の個別試験偏差値
偏差値70.0以上の大学は前年度と変わらず、偏差値67.5のグループに国際医療福祉大学が新たに加わった。
国公立大学前期日程志願者数の変動
2025年度は前期日程の志願者数が4%減少。ボーダーライン上昇により出願を断念する受験生が増えたと考えられる。
後期日程の志願者傾向
医学部の後期日程は国公立50校中16校のみ実施。定員が少なく、個別試験が面接・小論文中心であること、一次試験で共通テスト得点を重視することから、前期よりボーダーラインは高め。
隔年現象と志願者数変動の要因
旧帝大を除く多くの大学で志願者数の増減が隔年で繰り返される「隔年現象」が見られる。さらに、定員や入試科目の変更、共通テストボーダーラインや第一段階選抜基準の変化も志願者数に影響。
具体例:
・旭川医科大学:第1段階選抜基準を5倍→4倍に変更したことで志願者数は前年度比65%に減少。
・富山大学:ボーダーラインが低く、全国から志願者が集まった。
・三重大学:隔年現象に加え、ボーダーライン上昇で志願者数を大幅に減らした。
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