「妻のために残しておいたはずの保険金が、1円も届かない」――。そんな信じがたい事態が現実に起こります。古い保険証書を見返せば、受取人は前妻のまま。契約者自身は「変更済み」と思い込んでいたのです。今回は、アラカン世代に起こりがちな"受取人放置リスク"を事例に解説し、今すぐ見直すべきポイントを整理します。
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違う、あなたじゃない…〈貯蓄500万円〉67歳・優しかった夫が急逝。生命保険1,000万円を受け取った「まさかの相手」に妻、呆然【FPが解説】
今すぐ実践!保険見直し3つのステップ
悲劇を防ぐため、60歳を過ぎたら以下の手順で契約の総点検を行いましょう。
ステップ1:全契約の受取人確認
全ての保険証書を確認し、死亡保険金・個人年金の死亡給付金・医療保険の受取人が現在の意思と一致しているかチェック。複数契約がある場合は一覧表を作成し、「契約内容」「受取人」「最終確認日」を記録しておきましょう。
ステップ2:夫婦での情報共有
保険管理を一方に任せきりにせず、「誰がどの保険を請求できるか」を共有。保険金請求には、保険会社によって死亡診断書、印鑑証明書、戸籍謄本などの必要書類が異なるため、準備リストも作成しておくことをお勧めします。
ステップ3:定期的な見直し
生命保険の加入状況について、保険会社から1年に一度送られてくる書類(あるいはSMS)を必ず確認すること。結婚・離婚・転職・住所変更などの変化があった場合はすぐに見直しを。前婚で子がいる場合は遺留分問題もあるため、公正証書遺言を作成するなどの対策も合わせて検討しましょう。
生命保険は「大切な人に安心を残す」制度ですが、放置すれば意図しない相手に渡る危険があります。特に貯蓄が限られるアラカン世代にとって、保険金は最後の砦。今すぐ証書を確認し、「本当に渡したい人」に届く状態か夫婦でチェックしてください。修一さんの悲劇を繰り返さないためにも、「今すぐ」の行動が何より大切です。
三原 由紀
プレ定年専門FP®