自分に万が一のことがあった際、家族に負担をかけないための終活は、相続争いをはじめ親族間のトラブルを避けるために有効な対策です。しかし、誤った認識で終活を進めると、生きている自分たちの家計に深刻な影響をおよぼしかねません。そこで今回、とある夫婦の事例をもとに、「終活」に潜む注意点をみていきましょう。※個人の特定を避けるため、登場人物の情報等は一部変更しています。
(※写真はイメージです/PIXTA)
終活よ、これは終活…定年退職時の貯金は5,000万円、年金月26万円を受け取る70代夫婦が「破産寸前」のワケ。きっかけは“目覚めた”妻の暴走【CFPの助言】
「誤った終活」の恐怖
60歳以上終活の準備は、男性80歳以上女性75歳以上で6割超
参考までに、内閣府「令和6年度高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果」によると、60歳以上の男女の「終活」に係る項目は[図表]のとおりです。
終活について「準備をしている」割合56.2%に対して、「準備しているものはない」は37.4%でした。また性別、年齢でみると、「準備している」は、男性が80歳以上、女性が75歳以上で6割超と、終活の準備を始める年齢は遅いようです。
なお、終活の内容については基本的に当人だけで決めても問題ありませんが、場合によっては子どもに相談するなど、その家庭の事情によって適切な対応が異なるでしょう。
A夫妻の「その後」
後日、Aさんが筆者が話したことをそのままBさんに伝えたところ、Bさんは納得したそうです。
その後、Bさんが参加したセミナーの内容を参考に、たとえば銀行などのパスワードや医療・介護が必要になったときの自分の希望など、夫婦に万が一のことがあった際に子どもたちが困らないよう、「エンディングノート」を作成。著名な講師や数多のセミナーに頼ることなく、夫婦二人三脚で新たな終活をはじめたのでした。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員
