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日本、アメリカ、韓国…なぜ、世界中で「実家から出られない若者」が増え続けるのか?
たとえば米国では、80年代前半(失業率が約10%にまで伸長)と02年(01年に同時多発テロ)以降に、いずれも「親同居未婚者」が右肩上がりで増えていました(Census Bureau〈米国国勢調査局〉公開値ほか)。米国といえば、大学入学時に入寮して自宅を出ていくのが一般的なのに、不況や社会不安が高まると、親元に居続けたり一旦実家を出ても再び戻ってきたりする若者、すなわち「Boomerang Generation(ブーメラン世代)」が、顕在化する傾向にあったのです。
23年時点で、米国の未婚男女(18〜24歳)における「実家住まい割合」は、男性で6割弱、女性で5割強と、いずれも5割を超えています。それでも日本に比べれば少ないのですが、近年は子どもに過度に干渉する親が増えているとの指摘も。その象徴が、「Helicopter parent(ヘリコプターペアレント)」、すなわち高校生以上の子どもに対し、まるでヘリコプターのように周りを旋回しながら干渉を加える親の存在でしょう。
また、お隣の国・韓国でも、90年代後半と08〜09年にかけて「通貨危機」が起こり、「カンガルー族(日本のパラサイト・シングルとほぼ同義)」という言葉が広がっていました。韓国のニュースチャンネル「YTN」の報道によれば、85〜10年までの25年間で、未婚男女(25歳以上)が親と同居する世帯が、約3倍にも増えていたというのです(16年2月16日放映)。
牛窪 恵
世代・トレンド評論家