ソニー生命の調査によると、祖父母が教育資金として子や孫に資金援助をした平均額は124万円。なかには1,000万円以上の援助を実施しているケースも少なくありません。しかし、それが経済的な負担となり親子間の関係性に亀裂が入ることもあります。辻本剛士CFPが、とある親子の事例をもとに、過度な援助がもたらすリスクと、親子関係を長く良好に保つためのポイントについて解説します。
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敬老の日が待ち遠しい…義実家から“煙たがられている”年収550万円の43歳サラリーマン、それでも「会いに行きたい」とゴネる歪んだ理由【CFPが解説】
お金の援助が家族関係に与える影響
もうすぐ敬老の日を迎え、連休に実家や義実家へ顔を出す人も多いのではないでしょうか。
祖父母にとっては、久しぶりに孫と触れ合える大切な機会。親世代にとっても、普段なかなか確認できない両親の健康状態を知るきっかけとなり、さらに孫の成長した姿を見せることで親孝行にもつながります。
ただ、なかには「子や孫に会えるのは嬉しい反面、実際には経済的負担を感じる」という声もあるようです。その背景には、親の財産をあてにして、援助の要望を続ける子ども世帯の“過度な依存”があります。
ソニー生命が公表した2024年の調査によると、祖父母が教育資金として子や孫に資金援助した平均額は124万円でした。前年(2023年)の104万円から増加しており、援助の金額が年々上昇傾向にあることがわかります。
そこで今回は、具体的な事例をもとに、過度な援助や子どもからの金銭的要求が引き起こすトラブルについてみていきましょう。
もうすぐ敬老の日か…ため息をつく68歳男性
「娘と孫にはもちろん会いたいですよ。でも……“アイツ”が一緒に来ると思うと、正直憂うつです」
――そうため息をつくのは、埼玉県で妻の明子さん(仮名・67歳)と2人暮らしをしている池本武司さん(仮名・68歳)。
9月に入り、もうすぐ敬老の日。毎年この時期になると、名古屋に暮らす娘の吉岡ななみさん(仮名・41歳)が、夫・直樹さん(仮名・43歳)と6歳の長女、2歳の次女を連れて帰省してきます。
本来であれば、娘と孫に会えるとあって、胸が高鳴る機会のはず。しかし、武司さんの表情は冴えません。
