ソニー生命の調査によると、祖父母が教育資金として子や孫に資金援助をした平均額は124万円。なかには1,000万円以上の援助を実施しているケースも少なくありません。しかし、それが経済的な負担となり親子間の関係性に亀裂が入ることもあります。辻本剛士CFPが、とある親子の事例をもとに、過度な援助がもたらすリスクと、親子関係を長く良好に保つためのポイントについて解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
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実子や孫のために…池本夫妻と娘家族の「その後」
とはいえ、孫や子どものことを思うと気持ちが緩み、つい援助を重ねてしまうのも自然な親心でしょう。
無理のない範囲にとどめ、将来にわたって健全な親子関係を維持できるよう意識することが求められます。
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その後、池本夫妻は思い切って娘夫婦と話し合うことに。
「これからも前向きな気持ちで会いたい。そのために一度きちんと区切りをつけよう」
そう考えた池本夫妻は、孫に会える時間を素直に楽しみたい一方で、お金の話が繰り返されることに疲れを感じていることを、直樹さんに正直に告白。そのうえで、300万円を一括贈与して「これ以降の援助はしない」とはっきり伝えました。そして、今後はお金の話を極力しないよう約束させたのです。
直樹さんはこれまでの甘えた態度を詫び、ひとまず関係は落ち着きを取り戻しました。次はお正月に会いに来るとのこと。池本夫妻は、ようやく心から孫たちとの再会を楽しみにできるようになり、その日を心待ちにしています。
辻本 剛士
神戸・辻本FP合同会社
代表/CFP