資格取得は日常業務における評価、スキルアップ、あるいは転職や独立のために大いに役立ちます。ただし取得にあたっては、試験受験料はもちろんのこと、学習のための教材費、対策講座を受ければ受講料など、想定外の費用がかかることもしばしば。そのような資格取得のための費用について、国から一部援助してもらえる制度をご存じですか? 五十嵐義典CFPが、雇用保険制度の給付金制度について解説します。
年収600万円・貯金800万円「現状に不満はない」と話していた33歳サラリーマンが一転、〈宅地建物取引士〉取得を目指したワケ【CFPが「給付金の活用術」を解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

現状に不満はないが…33歳サラリーマンが「資格取得」を決意

Aさん(33歳)は建設関係の会社に勤務する会社員。年収600万円程度で、貯金は約800万円。2歳年下の妻(31歳)と1歳になる長男と暮らしていました。今の総務部門に異動になって2年経ちますが、日々会社の固定資産(土地・建物・備品)の管理や社内行事の企画、その他庶務に従事しています。特別出世コースにいるわけではないものの、総務の業務にも慣れてきたところで現状に不満はありませんでした。

 

そんななか、会社の同期で営業部門にいるBさんと会話したときのこと。Bさんから宅地建物取引士(以下、宅建士)の資格を取得したと聞きました。

 

Bさん「デベロッパーや不動産関係の顧客が多いから、お客さんの会話についていくためには不動産の知識が必要だと思って取ったんだ。この知識は自社の土地とか建物とか管理している総務でも役に立つんじゃないか?」

 

Aさんはこの話を聞き、同期の努力を素直に尊敬すると同時に、これまで感じたことのない焦燥感に駆られました。

 

あれ、もしかして俺、やばい…?Aさんが焦った理由

実はAさん、自動車の運転免許証以外の資格をもっていません。会社は業務関連資格の取得を推奨していますが、入社以来事務職を続けるAさんにとって必須となる資格もなく、「資格がなくても日々の仕事で頑張ればどうにかなるだろう」と考えていたそうです。

 

しかし、資格を仕事に役立てているBさんの話を聞いているうちに、Aさんも自身のスキルアップが必要ではないかと考えはじめました。

 

「このままだと取り残されるかもしれない……」

 

これまで「現状に不満はない」と考えていたAさんですが、自らも宅建士の資格取得に挑戦してみようと思うようになります。