長い会社員生活を終え、ようやく手にした自由な時間。現役時代のプレッシャーから解放され、年金の足しにと始めたパートは、気楽でストレスもありません。傍から見れば、それは穏やかで幸福な日々なのかもしれません。しかし、仕事以外の膨大な時間を、ただテレビを眺めて過ごす毎日。面白い番組があるわけでもないのに、リモコンを握りしめたまま時間が過ぎていく――。そんな時、ふと胸をよぎる言葉にならないモヤモヤ。そんな虚しさを感じているのは、一人ではありません。多くの60代が抱える共通の悩みです。有り余るほどの時間を前に、どう過ごせば心が満たされるのでしょうか? 本記事では、ふくしまゆきお氏の著書『定年後を豊かにするシンプルライフ お金・モノに頼らない生活の実現へ』(ごきげんビジネス出版)より、お金がなくても定年後の生活を豊かに過ごすためのヒントを探っていきます。
(※写真はイメージです/PIXTA)
年金の足しに“週3日の清掃パート”…ストレスフリーで幸福なはずの60代。ひたすらテレビを眺め、消えない「心のモヤモヤ」老後の葛藤
定年後悪くはないが、それでいいのか?
2014年のデータですが、内閣府が60歳以上の男女6千名に、「普段の生活で楽しいと感じていること」を聞いた結果があります。「テレビ、ラジオ」が83%で最も高く、次いで「新聞、雑誌」55%、「仲間との集まりなどの交際」48%、「食事、飲食」48%、「旅行」41%、「家族との団らん、孫と遊ぶ」40%、といった順になっています。
「テレビ、ラジオ」が1位、「新聞、雑誌」が2位、というのは残念ではありませんか? 老後資金を考えるとテレビなどで時間を過ごすのがいちばん、というのもうなずけますが、本当にそれでいいのかな? それしかないのかな?と私は思うのです。
実際に「お金がないから楽しめない」とつぶやく人は多いですが、「時間がないから楽しめない」という退職者には会ったことがありません。お金がなくても時間を使って楽しんでいたのが江戸・明治時代に生きたふつうの人たち、すなわち、お百姓さんや漁師さんたちです。
彼ら彼女らの生き方や楽しみ方をヒントにして、私たちの生き方、とくに楽しみ方を見つけていきます。当時の人たちは、いまよりも格段に不便な社会で生きていました。私たちから見ると「ミニマリストでサステイナブルな生活」ともいえるでしょう。それでも日々を楽しんでいたのです。
人生を楽しむのはこれからです!
ふくしま ゆきお
昔の楽しみ研究家
※本記事は『定年後を豊かにするシンプルライフ お金・モノに頼らない生活の実現へ』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。