株式会社AlbaLinkの調査によると、実家を離れて暮らす人の6割以上が「積極的に帰省したい」と答え、その理由のトップは「家族に会いたいから」でした。もっとも、なかにはその帰省に怯える親もいるようで……。楽しみにしていたはずの孫との夏休みが憂鬱なものに変わってしまったとある夫婦の事例から、成人した後の親子関係の難しさをみていきましょう。牧野FP事務所合同会社の牧野寿和CFPが解説します。
夏休みよ、こないでくれ…「年金月26万円」「貯金1,400万円」60代夫婦が“愛する息子家族のお盆帰省”に怯えるワケ【CFPの助言】
孫に会える!待ちに待った夏休みのはずが…
夫婦には、ひとり息子のCさん(35歳)がいます。Cさんは、都内の賃貸マンションで妻(32歳)と2人の子ども(小1、幼稚園年少)と4人で暮らしています。息子夫婦は共働きのため、孫たちの下校後はCさん宅から徒歩5分の妻の実家で、面倒を見てもらっています。
A夫婦にしてみれば、遠方に住んでいるとはいえ、嫁の両親に孫の面倒を見てもらっていることもあり、夕食代などの負担を掛けてはいけないと、Cさんに孫にお金がいるときは連絡するように言って、連絡がある都度送金していました。
その送金は、会社に勤めていた頃は気になりませんでした。しかし、年金暮らしとなってからは、月の支出が5万円を超えると「このまま惜しみなくお金を使って大丈夫なのか」と不安に感じるようになったそうです。
他方、息子のCさんとしては、すでに70代の義両親にいつも子どもの面倒を見てもらっていることを気にしていました。そこで、夏休みの約1ヵ月間は、自分の両親に孫の面倒を見てくれないかと頼むことに。
A夫婦は「愛しの孫と夏の間一緒に過ごせる!」と大喜び。A夫婦は快諾して、早速あれこれ準備を始めていました。
悪気なき息子から受けた“まさかの提案”に絶句
そして夏休み直前の週末、Cさんから夏休みの予定について詳しく話したいと電話がありました。
そこで、A夫婦は息子から“驚きの提案”を受けます。
Cさん「上の子が友達から夏休みの予定を自慢されたらしくて、家族で旅行に行きたいって言ってきかないんだ。だから、子どもたちが帰るタイミングで子どもたちと一緒に大阪まで来てくれないかな。6人で関西万博とUSJに行って、自分たち家族は東京に帰りたいと思っているけど、どう?」
Aさん「それは大歓迎だが、お前たちお金は大丈夫なのか?」
Cさん「それでさ……悪いんだけど、その交通費と宿泊代をお願いできないかな。ウチじゃ厳しいからさ、かわいい孫たちのためだと思って、ね? お願いだよ」
A夫婦は、息子のあまりの厚かましさに唖然。Cさんに一言も反論できずしばらく絶句したあと、ただ「わかった、考えておくよ」と答えるのが精一杯でした。
夫婦は、息子の“スネかじり”がエスカレートすることが脅威となり、あんなに楽しみだった孫たちの帰省が一転、「夏休みよ、こないでくれ……」と怯えるようになってしまったのです。
息子のエスカレートした“スネかじり”に対して自分たちでは収拾がつかなくなったA夫婦は、このまま援助を続けても大丈夫か確認するためFPに相談することにしました。