月々の支払額を抑えることで手の届かない高級車に乗れることから、昨今マイカー購入時に「残クレ(残価設定型クレジット)」を選択する人が増えています。では、同じ車を残クレで購入する場合と現金一括で購入する場合、それぞれどのような家計状況となるのでしょうか。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが、57歳Aさんの事例をもとに解説します。
残クレなんて使わない…年収600万円・貯金3,500万円の57歳サラリーマン「現金一括アルファード」で首都高を“ドヤ顔ドライブ”→わずか半年で手放したワケ【FPの助言】
街にあふれる高級車の“裏事情”
自動車の購入価格の目安は、年収の50%程度といわれます。たとえば日本の平均年収は460万円(※)ですから、単純に考えれば230万円ほどの車が適正となります。
(※)国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」
しかし近年、街中で高級車を見かける機会が多くなったと感じませんか?
この要因のひとつに、「残価設定クレジット(残クレ)」の利用が挙げられます。トヨタファイナンスによると、「現金一括」を除く自動車ローンを利用して自動車を購入する人のうち、約7割が残クレを利用しているそうです(※)。
(※) TS CUBIC「トヨタの自動車クレジット みんなが選んだ支払プラン大公開」
親の遺産で高級車の購入を決意したサラリーマン
都内に勤めるサラリーマンのAさん(57歳)。長年パートナーはおらず、いわゆる“おひとり様”です。年収は600万円で、給料はすべて自分のために使えるため、欲しいものがあれば躊躇なく購入しています。
プライドが高く見栄っ張りな性格であることから、“上質な生活”や“勝ち組”といったブランディングに弱く、洋服やインテリアなど、雑誌やネットを見ては同じ商品を買いに走ります。
そんな生活が続いていたある日のこと。Aさんは親の死によって、3,000万円もの遺産を手にすることになります。これにより、貯金は3,500万円に到達しました。
「これだけあれば、前から欲しかった“あれ”が買えるな……」
突如大金を手にしたことで、思わず浮足立つAさん。Aさんが狙っていたのは、高級ミニバン「アルファード」でした。アルファードはその価格と堂々とした外観、上品でラグジュアリーな内装から人気の車です。
Aさんも「勝ち組だと思われたい」「モテたい」といった思いから、「いつかアルファードが欲しい」と考えていました。