そんなわけない…ねんきん定期便に抱いた“違和感”の正体

Aさんが「これまでの年金加入期間」に視線を移すと、そこには厚生年金加入期間が記載されており、合計390月程度となっていました。

詳細を確認するうち、若いころに1年ほど勤めていた運送会社の分だけ、年金記録に含まれていないことがわかりました。

「そんなに長く勤めていなかったし、厚生年金入ってなかったのかな?……でもやっぱり気になるな。なにかの間違いか?」

疑問に思ったAさんは、運送会社時代の年金記録の調査を日本年金機構に依頼。

すると、その期間、Aさんの記憶どおり厚生年金に加入していた記録があることがわかりました。

「本当に間違っていることがあるんだな。勇気出して問い合わせてよかった」

Aさんは見つかった記録が追加されて安堵します。それと同時に、将来の年金は定期便の見込額180万円よりもまだまだ増額できるのでは気づきました。

すぐに年金事務所に向かったAさんは、窓口で職員に次のように伝えます。

「定年後も、少なくとも65歳までは働くつもりです。勤務先の再雇用で働くと、賞与込みで年収500万円くらいになると思います。この場合、65歳からの年金受給額はどれくらいになりますかね? 『ねんきん定期便』には180万円と書いてあったんですが……」

職員が試算した結果、年金受給見込額は「205万円」という結果に。

年金受給見込額が「180万円」→「205万円」に増えたワケ

ここまでの流れを整理しましょう。59歳の誕生月に届いた「ねんきん定期便」には、受給見込額が「180万円」と書かれていたAさん。しかし、ここに運送会社勤務時代の加入記録が追加され、その分の年金が2万円増えることになりました。

また、再雇用での勤務を希望するAさんは、60歳から65歳までの年収が500万円程度と見込まれることから、5年間勤務すると老齢厚生年金が23万円増えます。そのうちの報酬比例部分として13万円ほど増加し、さらにAさんは長期の未加入期間があったため、経過的加算額として10万円程度増えることになります。その結果、年金受給見込額の合計は「年205万円」となったのです。