50年近い投資歴があり、高齢になっても堅実に資産管理できていたのに、突然投資スタイルが変わり、損失が膨らんでしまった……。そんな、誰にも起きうる恐ろしいリスクが存在します。この記事では、魚住蓮太郎さん(仮名・82歳)の事例と共に「家族ぐるみで考える資産管理方法」について、FPの青山創星氏が詳しくお伝えします。
(※写真はイメージです/PIXTA)
父さん、どうしちゃったんだよ…投資歴47年・82歳の“超ベテラン個人投資家”が謎の豹変、資産3億円→9,000万円の大損失。ありえない行動の裏にあった「悲しい事実」
明らかになった悲しい真実―判断力の低下が投資の英知を奪っていた
蓮太郎さんの異変に気づいた家族は、彼を病院に連れて行きました。そして、さまざまな検査の結果、蓮太郎さんは認知症と診断されたのです。
医師からの説明で家族が知ったのは、認知症によって特に「判断力」と「問題解決能力」が低下していたということでした。これまで培ってきた投資の知識はある程度残っていても、新しい情報を適切に処理したり、投資判断の際に冷静にリスクを評価したりする能力が損なわれていたようです。
また、認知症の特徴として、自分の判断力が低下していることを自覚できないという点も大きな問題でした。そのため、家族がいくら心配して助言しても、「自分は正しい」と強く信じ込み、アドバイスを受け入れられなくなっていたようです。
圭一さんは振り返ります。
「父は常に『投資の基本は変わらない』と言っていました。それなのに、突然180度違う行動を取り始めたんです。もっと早く気づくべきサインだったと今は思います」
「もっと早く気づいていれば...」という後悔の念は、家族全員の胸に重くのしかかりました。蓮太郎さんが大切に育ててきた資産の多くが失われただけでなく、彼自身の自信と誇りも傷ついてしまったのです。