「これ、もらってないの?」――コロナ禍で4年ぶりの再会、そこで知った"もらい損ね"

悲しみが少しずつ癒えるまでに、約1年かかりました。その後、徐々に外に出られるようになったものの、新型コロナウイルスの感染拡大により、友人との交流は途絶えがちに。お互いの体調を気遣い、なかなか会う機会が作れずにいました。

そんななか、夫の死から4年が経ったある日、ようやく実現した昔の社宅仲間とのお茶会で耳にしたのが「給付金」という言葉でした。正しくは年金生活者支援給付金と言います。

「私、あれもらってるわよ。月5,000円ぐらい(※)だけど、助かってる。あなたも、きっともらえると思うけど? 4年も会えなかったから、お互い制度のことも情報交換しましょうよ」

そう話したのは、同じく夫を亡くした友人でした。弘子さんはそのとき、ふと思い出します。夫の死後に届いていた、緑色の封筒のことを。年金機構からの書類だとわかっていたものの、気持ちが向かずそのまま引き出しに入れたままだったのです。

帰宅後、恐る恐る引き出しを開けると、未開封の「緑の封筒」が何通も。そのなかには、確かに「年金生活者支援給付金」の申請案内が入っていました。

「本当に馬鹿でした……。こんな大切な書類を放置していたなんて」

年金生活者支援給付金とは、一定の所得以下で老齢基礎年金や遺族基礎年金を受け取る方に、月額数千円を年金に上乗せ支給する制度です。弘子さんのような老齢基礎年金受給者の場合、最大で月額約5,450円(令和7年4月〜) が支給されます。

ただし、この制度には以下のとおり注意点があります。

【重要】年金生活者支援給付金の注意点

・申請をしなければ1円ももらえない

・遡っての申請はできない

・受給対象でも自動では支給されない

損失は24万円...「緑の封筒」を開けることの大切さ

弘子さんはその後、年金事務所を訪れて確認。収入と年金額から、支援給付金の受給対象であることが判明しました。すぐに申請を行い、毎月約5,000円の上乗せが実現。しかし、4年間受け取り損ねた金額は約24万円にのぼりました。

「月5,000円でも、年間6万円。4年分なら24万円です。いまの生活では決して小さな金額ではありません。コロナがなければ、もっと早く友人に会えて、早く気づいていたかもしれません……」

弘子さんが受給対象となったのは老齢年金生活者支援給付金。月額数千円を年金に上乗せ支給する制度で、目的は、生活の支援を図ることです。

受給条件は以下の通りです(令和7年4月時点)。

【受給条件のチェックリスト】

・65歳以上の老齢基礎年金の受給者

・同一世帯の全員が市町村民税非課税

・前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が一定以下(例えば、単身で昭和31年4月1日以前生まれの場合78万7,700円以下など)

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出典:厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について

https://www.mhlw.go.jp/nenkinkyuufukin/system.html