厚生労働省の調査によると、同居期間20年以上の「熟年離婚」の割合は2022年時点で約23.5%と、1947年に統計を開始して以降過去最高となっています。熟年離婚を切り出すのは「妻から」のほうが多いようで、30年妻と連れ添ったAさん(60歳)も、定年退職したその日に「離婚届」を突きつけられ衝撃を受けます。今回は、牧野FP事務所合同会社の牧野寿和CFPが事例をもとに、熟年離婚の理由と離婚後の資金繰りについて解説します。
まってくれ…貯金4,000万円の60歳サラリーマン、定年退職日に花束を抱えて帰宅→妻から「離婚届」を渡され悲鳴。3年後に「離婚してよかった!」と笑う“まさかの理由”【CFPの助言】
離婚してよかった!…3年後に判明した「離婚の真相」
それから3年ほど経ったある日のこと。久しぶりにAさんが、筆者のところを訪れました。FPに相談後、Aさんは30年間の結婚生活に終止符を打ち、離婚が成立したそうです。
「老後は妻とのんびり過ごそうと思っていましたが、その相手もいなくなり、一時はどうなることかと思いました。けれど、系列の会社で再雇用してもらい、いまはこぢんまりとした部屋で自炊に掃除にと、忙しく暮らしています」
また、あとになって、Bさんが突然離婚を宣言した「本当の理由」が判明したと言います。
「家計は妻に任せきりだったので知るのが遅れたんですが、どうやらBは長いこと散財していたようでして。私が仕事で出かけているあいだ、友人と食事や旅行を楽しんだり、娘と一緒にデパートで洋服やジュエリーを買ったりしていたそうなんです。
それで、私の定年が近づき、『父さんが自宅に居るようになると、今までみたいに気楽に友だちと食事や旅行に行けなくなるし、あんたの洋服も買ってあげれなくなるけど、どうしようね』と娘に相談したところ、娘が冗談のつもりで『じゃあ別れたら』と言ったところ、それを本気にしたらしくて……。ほんと、ばかばかしいですよ」
「娘から聞いた話では、離婚後に散財がひどくなり、財産分与したお金も底をついてしまったらしく、私と『ヨリを戻したい』と話しているらしいんですよ。もちろん、断固拒否です。いまでは『離婚してよかった』とさえ思っています」
そう話してくれたAさんですが、一緒に生活していながらBさんの散財に気が付かなった自責の念もあるといいます。
元妻のBさんが自活した老後を過ごすには、物心両面でAさんなりCさんの協力が必要になることでしょう。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員