長期ビザ取得には4,500万円必要…慎重派の武さんがとった行動

通常「MM2H」の取得申請は、マレーシア政府指定代理店に依頼して、マレーシア移民局から発給取得までを請け負ってもらいます。

そしてビザ申請後、仮承認を受けたタイミングでマレーシアに渡航し、マレーシアの銀行口座を開設して、定期預金を預けるなどの手続きを行うというのが一連の流れです。

現行制度において、MM2Hには「プラチナ(有効年数20年間)」、「ゴールド(有効年数15年間)」、「シルバー(有効年数5年間)」という3つの区分があります。

このうち、武さんが取得を目指す「シルバー」は滞在期間も短く、申請費用も一番安い区分。とはいえ、現地の銀行定期預金口座にアメリカドルで15万ドル(1ドル=143円として日本円で2,145万円以上)預ける必要があるほか、住宅購入なども条件となっており、簡単に取得できるものではありません。

ビザ取得のために代理店に支払う手数料などの諸費用を含めると、日本円で約4,500万円は必要です。

そこで武さんは「申請前に一度現地へ行って下調べをしよう。そこで納得できればすぐに現地で代理店を通して、MM2Hを取得しよう」と考えました。

物価も高い、景色も違う…20年ぶりのマレーシアで感じた「変化」

そして早期退職から数ヵ月後、武さんは大型スーツケースを片手に、クアラルンプール国際空港に降り立ちました。

しかし、念願のマレーシアにもかかわらず、武さんは浮かない表情です。

マレーシアの通貨は「リンギット」で、現在の為替相場は1リンギットあたり34円前後です。しかし、日本円対アメリカドルで円安が続いているように、円対リンギットも、ここ5年間円安傾向にあります。

そのためか、日本より物価が安いはずのマレーシアでも、以前と比べて思いのほか物価が高くなっていることに気づきました。また、街は高層ビルが何棟も立ち並び、20年前に見た景色とは大きく異なります。