公務員と聞くと、「安定している」「老後まで安泰」というイメージを持つ人も多いでしょう。実際、10年前までは公務員独自の年金制度があり“優遇されている”面もありました。しかし、制度が変わってこうした“公務員神話”は崩壊しつつあるのが実情です。元公務員の60代夫婦の事例をもとに、その理由と老後破綻危機を回避するポイントをみていきましょう。FP Office株式会社の山本志歩FPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
恥じています…「退職金2,000万円」「年金27万円見込」の60歳元公務員が定年後わずか3年で〈老後破産〉を覚悟したワケ【FPが解説】
妻や母には迷惑かけたくない…中野さんの決意
また、FPからは「株式や債券が組み合わさった投資信託で運用していくことで、物価上昇による負担増にも負けず、自身の資産を守りながら増やしていくことができます」と助言を受けました。
「公務員だから老後は安泰だろうとなにも対策をしてこなかったことを恥じています。もう遅いかもしれませんが、資産が枯渇して妻や母に迷惑をかけることのないよう、改善に努めます」
中野さんは前を向いてこう言いました。
“公務員神話”はもう過去の話
年金制度が変化し、いまや「公務員=老後安泰」という神話は崩れつつあります。また、退職金や公的年金は決して“余裕資金”ではなく、大切な「老後資金」であることを、しっかりと肝に銘じたいところです。
退職後に無計画に使ったお金を取り返すことは、簡単なことではありません。そのため、老後の計画については早めに立てておくことが重要です。
まずは自身の年金額を確認し、月額の支出から年金の月額を引いてみてください。このとき、物価上昇も加味し、支出は想定よりも増える可能性があることをイメージするとなおよいでしょう。
毎月いくら不足するのかをあらかじめ把握できれば、おのずと自分たちの老後資金がいくら必要なのか、という目安がわかります。
かつて「老後2,000万円問題」が話題となりましたが、ここに入る金額は人それぞれ異なります。自分たちの老後はいったいいくら必要なのか知るためにも、危機感を持って早めの対策を心がけましょう。
山本 志歩
FP Office株式会社
ファイナンシャルプランナー