中野さんを襲った「想定外」の悲劇

90歳になる中野さんの母が自宅で転倒し、入院することになったのです。

病院で検査を受けた結果、母は骨折していることが判明。2ヵ月近く入院することになり、食事代や交通費、差額ベッド代などは息子の中野さんが負担することになりました。

また、退院後もしばらくリハビリのために通院することに。通院費や付き添いにかかる交通費など、こまごまとした出費が続きました。気づけば預金は1,000万円を切っています。

この時点で中野さんはまだ63歳。年金の受給開始まであと2年あります。

「詰んだ……このままでは破産だ」

今後の見通しが立たなくなった中野さんが妻に相談したところ、妻が習い事で出会った友人の夫がファイナンシャルプランナー(FP)をしているとのこと。

妻の友人の夫とはいえ、他人に家計の話をするのは気が引けた中野さん。しかし悩んだ末「生活を守るために背に腹は代えられない」と相談を決意しました。

家計改善の方法は?FPの助言

相談までの経緯を聞いたFPは、下記のように助言を行いました。

FP「まずは現状の支出を明確に把握しましょう。支出を『固定費』と『変動費』に分け、それぞれいくらかかっているのか分析することが家計改善の第1歩です。

固定費には、家賃や水道光熱費・通信費・保険料が該当します。一方、変動費として代表的なものは食費や交通費・娯楽費等です。

変動費の節約は日々の積み重ねであり、『楽しみ』や『気分転換』といった個人の価値観も関わってくるため、家計の見直しで効果的なのは『固定費』の見直しです。削減できるものはないか検討してみるといいでしょう」

その後、中野さんがFPとともに支出を確認すると、現役時代に職場の付き合いで加入していた更新型の生命保険をそのまま継続していることがわかりました。これを自身の現状に合った商品に見直すことで、大幅な固定費の削減に繋がります。

支出を見直したあと、中野さんはこの先30年のライフプランを作成し、自身にかかる介護費用や家の修繕費等、今後予想される支出を書き出し、予算を確保する方法について確認しました。