老後破産を回避する3つの対策

基本的に、年金がもらえるのは65歳からです。そのため60歳で仕事を辞めると、無収入の期間が5年間あります。また、Aさんがもらえる年金は月20万円ほどですから、現役時代の年収1,000万円と比べるとひと月に使えるお金は半分以下になります。

退職してからも現役時代と同じ生活水準で生活しようとすれば、相応の貯蓄もしくは収入が必要になります。

Aさんのように老後になってから慌てないよう、早めの準備が肝要です。現役時代から老後に備えるための手段は、下記の3つです。

1.NISAやiDeCoで投資信託の積立をする

2.外貨建て保険や変額保険で積立をする

3.国債や社債などの債券で安定した利息を得る

1.NISAやiDeCoで投資信託の積立をする

「NISA」や「iDeCo」といった制度を利用すれば運用益が非課税になるため、投資信託で得た利益をそのまま受け取ることができます。

NISAとiDeCoを活用した投資信託は、国内で取り扱われている数々の商品のなかから金融庁が「長期投資に適した投資信託」を厳選しているため、投資初心者でも取り組みやすくなっています。

さらに、iDeCoは掛け金が所得控除となるため、節税効果も期待できます。ただし、iDeCoは「私的年金制度」ですが、公的年金と同様に60歳になるまでは途中でお金を引き出すことができません。したがって、老後に向けた資金準備に適しているといえます。

他方、NISAであれば、積み立てたお金を必要なときにすぐに解約することができます。

こうした制度を活用し、無理のない範囲で積立を行いましょう。

2.外貨建て保険や変額保険で積立をする

現在、日本の政策金利は外国に比べて低くなっています。そのため、外貨建て商品は円建てよりも金利が高く、資産形成に向いているといえます。

ただし、外貨建て商品には為替レートの変動により資産価値が上下する「為替リスク」が存在します。この点、「長期の積み立て」をすることでタイミングの分散ができ、リスクを抑えることが可能です。

また、「変額保険」は、保険の掛け金がNISAやiDeCoでも利用されている投資信託で運用されます。こちらも長期間積み立てることでドルコスト平均法となり、リスクを抑えることができます。

ただし、保険は短期で解約すると解約控除などの手数料が発生するため、計画的に利用するようにしましょう。

3.国債や社債などの債券で安定した利息を得る

「債券」は、定められた満期まで保有しておけば、元本と利息が得られます。株式や投資信託のように激しい価格変動のリスクはありません。債券によっては半年おきに一定金額の利息が得られる商品もあるため、退職金の一部を債券にすることで老後のボーナスとすることもできます。

ただし、株式や投資信託のような流動性はありません。そのため、すぐに使う予定のない余剰資金で行うようにしましょう。

武田 拓也
株式会社FAMORE
代表取締役