老後の不安、インフレ、住宅ローン……現代人はさまざまなお金の悩みを抱えています。将来に備えて資産形成を始めたいけれど、なにから始めたらいいかわからない。そんな人は少なくないでしょう。本記事では、元国家公務員で1級ファイナンシャル・プランニング技能士の川淵ゆかりさんが、自身の失敗談も交えながら、賢い資産形成の方法をわかりやすく解説します。
20代独身で住宅ローンを背負った元国家公務員…「資産形成・はじめの一歩」での大失敗から学んだこと (※画像はイメージです/PIXTA)

20代独身で住宅ローンを背負った理由

(※画像はイメージです/PIXTA)
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私が初めて社会人として仕事をスタートしたのは国家公務員でした。最初の所属先は人事系の給与担当でした。当時はできたばかりの施設で職員の採用や転入が非常に多く、とても定時の17時に帰れるものではなかったため、土・日の仕事も当たり前という時期が幾度となくありました。配属から3年間はこのような時期を過ごし、父親が亡くなったのもこのころです。

 

当時、勤務先と実家は距離がありましたので、勤務先の近くに小さなアパートを借りて一人暮らしをしていましたが、父親が亡くなったことで専業主婦の母を扶養に入れ、一緒に暮らすことに。実家からの自動車通勤になりました。仕事で帰りが夜中になったり、雪の多い地方だったので冬の運転で怖い思いをしたりしたこともたびたびありました。

 

実家は両親が中古で買った家で、すでにだいぶ古くなっており、建て替えも検討しましたが、私が通勤の不便を申し出たことから、勤務先近くの新築戸建て住宅を購入して引っ越すことにしました。若いながらも住宅ローンを一人で抱えることになったのです。

入庁まもなく加入した、老後のための個人年金保険で大失敗

(※画像はイメージです/PIXTA)
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住宅ローンを抱え、若いうちから老後のことを考えていた私は、働き始めて数年後に、ある保険会社の個人年金に加入しました。しかし当時は保険のことがよくわからず、お昼休みにやってくる保険会社の女性に勧められるがまま加入することになりました。

 

当時はまだ金利のいい時代でしたから、保険会社の方への信頼も厚く、将来は説明されたとおりの金額が受け取れるだろうと思っていましたが、数年後に予想もしなかったことが起きます。保険会社の経営破綻です。超低金利時代に突入し、実際の資金運用利回りが保険商品の予定利率を下回ったことが原因でした。

 

このころは中堅の保険会社のほか、銀行などの金融機関も多く破綻した時期です。資産は保険契約者保護機構や預金保険機構で決められた金額までは守られます。保険会社の破綻後は受け皿となる保険会社が契約を引き継ぎましたので契約は続きましたが、予定利率は引き下げられることに。結局、私はこの保険を解約し、結果的に資産形成において大きな損失を被ることとなりました。これが、私にとって資産形成のはじめの一歩での大失敗です。

 

この経験から、私は保険会社や銀行の格付けなどを慎重に確認するようになりました。安易な判断で契約することのリスクを痛感した出来事でした。