帰宅後に判明…妻から告げられた“衝撃の事実”

その翌日、興奮した様子のAさんから筆者のところに連絡が入りました。

「あの日、家に帰ってから妻に、『FPに相談してきたけど、やっぱり家を売ろうかと考えている。このままじゃ10年赤字になる』と話したんです。そしたら、妻が「10年なんとかなればいいのよね。800万円あれば大丈夫?」って言うもんで、『いったいどういうこと?』って聞いたら……」

Aさんによると、Bさんは就職後に給与の一部を使って投資をしていたそうです。Aさんにも以前その話をしていたようですが、「貯めるなら定期が一番だ」と相手にされなかったそう。

しかしその後もBさんは、株式を売買しながら通算35年間運用を続けました。「800万円」というのはその成果の一部のようです。

「家計は俺ひとりで管理してきたと思っていたけど、実は妻の手のひらで踊らされていたんです。妻には感謝してもしきれません。今後は夫婦で話し合いながら管理することにしました。

Aさんのように、定年後、公的年金を受給するまでに無収入の期間がある場合や、定年後の主な収入が年金となり、それが給与収入に比べ極端に少ないなど、定年後の収入減少が見込まれる場合は注意が必要です。

たとえまとまった貯蓄があったとしても、住宅などの高額な買い物をするときは、購入後の家計収支を見極め、手元に一定の現金が残るよう慎重に検討することが、老後の生活を守る安全な方法です。

牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員