部下から“ケチおじ”と陰口をたたかれるほどの倹約家だった元銀行員のAさんは、定年退職にともなう社宅退去を機にマイホームを購入します。しかし、“予想外”の出来事によって購入早々「買わなきゃよかった」と後悔することに……いったいなにがあったのでしょうか。牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、事例をもとにマイホーム購入時の注意点を解説します。※プライバシー保護のため登場人物等の情報を一部変更しています。

(※写真はイメージです/PIXTA)
あだ名は“ケチおじ”…〈年金月24万円見込・貯金6,800万円〉倹約家の60歳元銀行員、定年のため社宅を退去→“念願のマイホーム”購入も「買わなきゃよかった」と涙目のワケ【CFPの助言】
帰宅後に判明…妻から告げられた“衝撃の事実”
その翌日、興奮した様子のAさんから筆者のところに連絡が入りました。
「あの日、家に帰ってから妻に、『FPに相談してきたけど、やっぱり家を売ろうかと考えている。このままじゃ10年赤字になる』と話したんです。そしたら、妻が「10年なんとかなればいいのよね。800万円あれば大丈夫?」って言うもんで、『いったいどういうこと?』って聞いたら……」
Aさんによると、Bさんは就職後に給与の一部を使って投資をしていたそうです。Aさんにも以前その話をしていたようですが、「貯めるなら定期が一番だ」と相手にされなかったそう。
しかしその後もBさんは、株式を売買しながら通算35年間運用を続けました。「800万円」というのはその成果の一部のようです。
「家計は俺ひとりで管理してきたと思っていたけど、実は妻の手のひらで踊らされていたんです。妻には感謝してもしきれません。今後は夫婦で話し合いながら管理することにしました。
Aさんのように、定年後、公的年金を受給するまでに無収入の期間がある場合や、定年後の主な収入が年金となり、それが給与収入に比べ極端に少ないなど、定年後の収入減少が見込まれる場合は注意が必要です。
たとえまとまった貯蓄があったとしても、住宅などの高額な買い物をするときは、購入後の家計収支を見極め、手元に一定の現金が残るよう慎重に検討することが、老後の生活を守る安全な方法です。
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員