A夫婦を襲った“想定外”の事態

その後、A夫婦は退職前に立てた計画どおり、新車の購入や旅行など充実した日々を過ごしていました。ただ、物価高や円安の影響で当初の計画よりも貯金が減るペースが早いことに気づきます。

「このまま計画どおりに過ごしていたら危ないな……優先順位を決めないと」

そう考えたA夫婦は、長年の夢であった「家のバリアフリー化」を実現するため、X工務店に向かいます。すると、修繕箇所が増えたことや材料費、人件費の高騰により、見積額が以前よりも約500万円高い約2,000万円と告げられたのです。

500万円の負担増にA夫婦は躊躇します。しかし、快適な終の棲家を手に入れるためにも、リフォームは是が非でもやっておきたいところです。念のため他の工務店でも見積もりを取りましたが、費用総額はX工務店が最安値でした。

「リフォームするならやはりXさんのところしかないか……」

Aさんはため息をつきました。限られた貯蓄のなかでリフォームを決行するには、支出を見直す必要がありそうです。自分たちの生活費を削るのはもちろんのこと、C家への援助も削減する必要があると考えたA夫婦は、Cさんに事情を話すことにしました。

「援助額を減らしたい」…両親の言葉に、愛娘の反応は

「え～、ひどい！　1,500万円援助してくれるって言ったじゃない！　もう不動産会社とも話は進んでるし、ママ友たちにも新築を建てるって自慢したのに、責任とってよ！　パパとママは可愛い娘がバカにされてもいいの!?　嘘つき！」

Aさんは意を決して、娘に住宅購入資金援助の“減額”を申し出ましたが、Cさんは怒り心頭。怒りをぶつけられたAさんは思わずカッとなり、言い返してしまいました。

「嘘つきだと!?　それが援助してもらう側の態度か!?　よし、もう援助は一切やめだ！　二度と俺たちの前に顔を見せるな！」

住宅購入資金をめぐり、長年仲の良かったA夫婦とCさんは大喧嘩。Cさんは泣きながら実家を後にしました。

しばらくして落ち着きを取り戻したAさんはBさんになだめられ「言い過ぎた」と反省。とはいえ、リフォームを決行しても今後の生活に問題はないか、また現実的には娘の住宅購入資金や孫の学費がどのくらい援助できるのか疑問に思ったA夫婦は、FPに相談することにしました。