旅番組、ドキュメンタリー番組、バラエティ番組など、様々なジャンルで海外の生活が紹介されています。なかには「実態と異なる!」といった意見がでる内容のものも。本稿では、イタリアに20年以上住む中山久美子氏の著書『イタリア流。: 世界一、人生を楽しそうに生きている人たちの流儀』(大和出版)を一部抜粋・再編集し、イタリア生活の実態を紹介します。
「そんなアホな!」「絶対ヤラセでしょ!」…日本のテレビ番組で紹介された「イタリアの朝ごはん」に現地日本人、爆笑
イタリアの朝ごはん
「はいアナタ、朝ごはんはカルボナーラよ!」
随分前のことですが、日本の某テレビ番組で世界の朝ごはんを紹介していました。そのイタリア編・ローマの奥さんが朝に準備したのがローマのパスタ料理、カルボナーラだったのです。
そんなアホな! 絶対ヤラセでしょ!と在イタリアの日本人と爆笑しました。旅行先のホテルでコンチネタル・ブレックファストを非日常な楽しみとして食べる人はいるものの、日常の朝ごはんに「サラート(塩味の食物)」を食べる人はほぼ皆無。和食好きの夫も、日本式朝ごはんは苦手です。
朝から塩鮭は無理!という理由は、そう、イタリア人は何よりも「ドルチェ(甘い)」な朝ごはんをこよなく愛しているからです。
家で食べる場合は、スーパーで十数種類もあるビスコッティ(ビスケットやクッキー)。プレーンなものからカカオやチョコチップ入り、全粒粉使用などなど。チョコやジャムが入ったミニタルトやスポンジ菓子は個包装パックで売っており、朝ごはんや子どもたちが学校に持って行くおやつとして欠かせないものです。
飲み物のベースは、何と言ってもエスプレッソ。最近はエスプレッソマシーンも普及していますが、イタリアでは1家に1台あるのがモカ、あるいはマキネッタと呼ばれる器具です。それにコーヒーの粉と水を入れて火にかけ、エスプレッソを作ります。そのまま飲む他、少し牛乳を足したマッキアート、泡立てた牛乳を足したカッブッチーノ、泡立てない牛乳と合わせるカッフェラッテが主流。そこにビスコッティやスポンジ菓子をどっぷりとつけ、したたり落ちるカッフェラッテもいっしょにじゅるじゅると口に頬張ります。
子どもがするのは可愛いけれど、見た目はスマートな紳士だったわが舅、そして夫のその姿を初めて見た時は、なかなかの衝撃を受けました。
中山久美子
日伊通訳
コーディネーター