大手企業の役員だった人が、定年退職後は保育士になったり飲食店を経営したりするケースがあります。他にも、タクシードライバーやマンションの管理人など、定年退職前とは業界も職種も異なるセカンドキャリアを選択する例は枚挙に暇がありません。本記事では、法人営業コンサルタントでビジネス書作家の大塚寿氏による著書『会社人生「55歳の壁」突破策』(かや書房)から一部を抜粋・再編集し、定年後の生活を豊かにする働き方について解説します。
「じじせんせい」元IBMの部長、今では週3で保育士に…定年後の生活を“豊かにする”セカンドキャリアの見つけ方
「ライス」と「ライフ」が重なる働き方もアリ?
よく「ライスワーク」と「ライフワーク」という言い方をしますが、それこそ二分割思考ではなく、積集合的に「ライスワーク」と「ライフワーク」が重なる部分での働き方も60歳以降はあるのかなぁと。
まさに、人それぞれでウエイトはライスのほうに乗せてもいいし、ライフのほうに乗せてもいいし、それを自由に自己決定できるのはシニアゆえの特権に違いありません。
60歳の定年時にそれをいきなり決めることはできないので、55歳からの5年でじっくり、そのあたりを計画していくのがいいと思います。
改めて考えたい定年後の生き方
また「ライスワーク」や「ライフワーク」とは別に、シニアになって「オブリゲーション(義務)」を意識する人もいるでしょう。
家業を継ぐ決断、継がない決断。家業までいかなくても、実家の田畑山林の管理をどうするのかを思案している人も、たくさんいるはずです。
草刈り機で実家の周りの草を刈り、エンジン付きバリカンで庭木の剪定をしている時は、それなりのやりがいもあるのですが、これらの仕事は外注したほうがよっぽど経済的と思うこともあります。
法人営業コンサルタントとビジネス書作家との二足の草鞋生活とはいえ、出自は材木屋の11代目ですので、チェーンソーや草刈り機くらいは自由に使いこなせないと……という考えもあって、自ら汗しています。
「レッドネック」とは、野外で働く人を侮蔑した言葉ですが、毎度、毎度まさに草刈りで首の後ろが日焼けしている自分を恥ずかしく思ったことは、一度もありません。自らの意志で自己決定しているので。
60代でタクシードライバー、警備員、新聞配達、入力作業などに従事する人も同じような心中なのではないかと推察しています。
大塚寿
エマメイコーポレーション代表取締役