55歳以上の転職活動は営業活動である

新人に営業を教える際に、「営業とは、まずは自分を売り込むことだ」とか「商品やサービスを気に入ってもらう前に、まずは自分を気に入ってもらおう」などと指導することがあります。

営業畑とはまったく異なるキャリアを歩んできた人には「???」かもしれませんが、55歳を超えた会社員のみなさんで転職が念頭にある人には、最強の裏技として、転職活動にほんの少し営業活動の要素を加える奥義を共有しておきたいと思います。

ヘッドハンターや転職エージェントのみなさんには「ゴメンナサイ」ですが、リファラル採用もますます浸透するでしょうから、それと同様ということで……。

この方法、端的には入社したいオーナー企業を探して、オーナー社長か会長に手紙・履歴書・職務経歴書の3点セットで「履歴書・職務経歴書在中」と明記のうえ、送付するのです。

この方法、「ツテ」や「リファラル採用」とは異なり、運や人間関係にはまったく左右されず、自身の実力、熱意といった真水の部分で100%勝負できる方法です。

私は、この方法を人材流動化の仕組みとして、特にシニア転職での領域で流行らせたいと思っています。

ヘッドハンターや転職エージェントといった利益団体とは、まったく関係のないところで転職活動を進めるのもアリかと。

運や人間関係にはまったく左右されない方法

実はこの方法は、シニアよりもっと若い世代の転職活動で密かに成果を上げてきた裏技です。

すでに共有したように、中堅、中小企業はいくら予算をかけても、新卒でも中途でも希望する人材を採用するのが至難の業で、親戚やツテを頼るしかなかったり、「もう採用できない」と媒体やエージェントを用いた採用活動を諦めてしまったりしている企業さえ少なくないのです。

つまり、求人広告やエージェントには登場しないけれど、求人意欲のある中堅・中小企業は、潜在的には求人中の企業よりよっぽど多いのです。

それが事実ですので、この自己推薦的な飛び込み転職活動の最初の行動は、自分のキャリアが活かせ、やりたい仕事ができそうなオーナー企業のリストアップになります。「オーナー企業」と限定しているのは、オーナーの判断で決まってしまうので話が早いからですが、採用で苦労している企業であれば、非オーナー企業の社長でも可能性はあるかもしれません。

念のため、私の知る規模感のあるオーナー企業経営者のすべてにヒアリングしていますが、この方法による履歴書と職務経歴書が送られてきたら、ほぼ100%のオーナーが開封するそうです。

他のDMと同様に、そのままゴミ箱行きになると思われるかもしれませんが、採用の余力がない企業以外は興味を示してくれるのです。

しかも半数以上のオーナーは、「会って、戦力になりそうなら、採用してみる」というのです。

大塚 寿
エマメイコーポレーション代表取締役