得意分野がない人は、「相対的強み」で考える

できれば55歳以降の転職活動には、3つくらいの得意分野があるといいのではないでしょうか。ただのアイドルよりも歌えて、踊れて、MCもできるアイドルのほうが稼げるのと同じで。

正直、「得意分野」と呼べるものがないという事務系の方も少なくないと思いますが、その際は「絶対的強み」ではなく、「相対的強み」で考えてみてください。

そもそも「絶対的強み」のある人は給与生活者を続けてはいませんので、結局、「相対的強み」で十分なのです。

偏差値52.5程度の強みが3つ揃えば十分

さらに言えば、その「相対的強み」も偏差値60以上の必要はなく、偏差値52.5程度の強みであっても3つ揃えば十分戦える、と考えてください。

得意分野は、できるだけ具体的なほうがベターですが、どうしても具体的な表現にできなかったり、具体的にしようとすると陳腐な表現になってしまったりするなら、そのエビデンスとなるような具体的資料を添えるのも1つの方法です。

同じ釜の飯を食った仲間や紹介で人材を集める

さあ、ここからはとても大事な「転職の裏技」について共有していきましょう。

私はリクルートのOBですので、先輩、同期、後輩たちが、それは、それは、たくさんの転職エージェントを経営している関係から、どうしても様々な情報が入ってきます。リクルートの歴史というのは、日本の転職の歴史でもありますので、時系列的にも、その変化にも、並走してきたと思います。

そのうえでの結論は、最強の転職カードは「ツテ」であると私は確信しています。

信じられないかもしれませんが、某外資系情報システム会社は、OBがその会社からのシステム開発を請け負うBP(ビジネスパートナー)企業を創業し、シニア社員の受け皿としての機能を担っているのです。

そのシニア社員の年収ですが、システム会社在籍時と同等で1000万円を超えるそうです。しかも、現役時代にやっていた仕事どころか、現役時代に担当していた顧客のプロジェクトで、今までと同じ仕事をしていたりするわけです。

そのBP企業のシニア社員集めは、「ツテ」です。かつて同じプロジェクトで同じ釜の飯を食った仲間や紹介によって、技術者が集められるのです。

自分がやってきた仕事で、50代での年収がそのままキープされる転職の好事例だと思います。

あるいは、上場しているにもかかわらず知名度が低かったり、規模感が売上100億円程度だったりすると新卒採用では苦戦し、中途採用もままならない中堅、中小企業が少なくありません。

そうした企業が社外取締役や監査役、あるいは役員、マネジメント人材が必要になった時に、経営者が最初に利用するのが「ツテ」です。

転職エージェントでは、希望する人材が採用できないことをすでに学習しています。