いつかはやってくる親の介護。家族という閉ざされた空間で行われる介護であるからこそ大きなトラブルになりやすく、殺人事件にまで発展してしまったケースを度々ニュースで目にします。介護をする人、される人の悩みを少しでも小さくするための方法を大塚寿氏による著書『会社人生「55歳の壁」突破策』(かや書房)から一部を抜粋・再編集し解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
いいカモにされていた…認知症の母、怪しい金融商品を買わされていたことが発覚。家族が「介護疲れ」に陥らないために、大切なこと
介護は「一人で頑張らず、人に頼る」
認知症がやっかいなのは、判断ができなくなるにもかかわらず、親としてのプライド、人としてのプライドはそのままですから、「できなくなったことをバカにしている」つもりなどまったくないのに、すぐにケンカになってしまうことです。
ゴミ出しが集積所ではなく、玄関前に変更になったこと、1週間のピルケースのことなどを忘れないように「メモに書いて貼っとくね」というのが、お母様のプライドを傷つけ、バカにされたと受け止めて怒り出してしまうのだそうです。
また、デイサービスについては、たまたま先に介護中だった知人から「最近のデイサービスの施設は、いろいろなバリエーションがあってスゴい」とは聞いていました。
「老人の幼稚園」のイメージなどではなく、麻雀を楽しむ施設やスポーツジムのような施設など、好みに応じていろいろな施設があるので、デイサービスの日が楽しみになるそうです。
介護は団体戦で挑む
ケアマネージャーの黎明期から長年介護の現場にいた専門家によれば、介護は「一人で頑張らず、人に頼る」ことに尽きると言います。
「親の介護は子供がやるべき」「他人や施設に任せるのは後ろめたい」というのが、一番好ましくない結末となり、介護疲れの結果、親に憎しみの感情を抱いてしまうことすらあるのだそうで。
親も我慢しない、子供も我慢しない状況が、どのようなものなのかを考えておくのも重要だと。
その状況に近づけるために、地域の情報や口コミといった情報を集め、官民のサービスを上手に組み合わせ、団体戦という気持ちで介護に向き合っていきたいものです。
大塚 寿
エマメイコーポレーション代表取締役