65歳で定年退職を迎え、穏やかなセカンドライフを満喫していた夫婦。ところが“まさかのできごと”により、夫婦は「お金なんていらない」と嘆くハメに……。いったいなにがあったのか、具体的な事例をもとに詳しくみていきましょう。牧野FP事務所の牧野寿和が、解説します。※プライバシー保護のため登場人物等の情報を一部変更しています。

(※写真はイメージです/PIXTA)
お金なんていらない…〈年金月26万円〉〈資産1.2億円〉60代“勝ち組”夫婦が「ちっとも幸せじゃない」と嘆くワケ【CFPが解説】
A家のその後…
A「お金を持つとそれ相応の悩みも出てくるんですね。娘にはいささか感情的になっていましたが、計画的に渡してやらないと将来あの子も困るんだ。もう一度冷静に、今後の生活について考えてみます」
実家に帰ってくるたびに金銭を要求する娘を苦々しく思っていたA夫婦でしたが、資産が十分にあり老後も安泰であることや、逆に適切な生前贈与の必要があることを知り、安堵した様子です。生前贈与を活用しながら節税を心がけ、夫婦は“妥当な金額”でCさん(場合によっては孫)に贈与を行うことにしました。
後日、A夫婦が再び筆者のもとを訪れました。
A「Cに正直に話したんだよ。『頻繁な援助の要求に苦しんでいる』と言ったら、娘は目が覚めたようで、すんなり謝ってくれて。その姿を見ていたら、突然入った大金をできるだけ独占したいと思っていた自分たちの浅ましさに気づいたんです。お金の使い方もどんどん荒くなって、考え方もおかしくなっていたんでしょうね。あのとき相談してよかったです」
たしかに、A夫婦がこれ以上支出額を増やし贅沢を極めていたら、Cさんに贈与するどころか、老後破産の可能性すらありえたかもしれません。
元来まじめなA夫婦とその子どもの幸せを願ってDさんが遺贈したお金ですから、Dさんの意をくみ、定期的に残高を確認しつつ適切に活用したいものです。
代表社員
牧野FP事務所合同会社
牧野 寿和